ハイキングにハマり出した頃、ハイキング関連のノンフィクションの本が読みたいなあと思い見つけたのがこの本。「Wild: A Journey from Lost to Found」
愛する母の死をきっかけに自暴自棄になってしまっていた20代の女性がカナダの国境線からメキシコの国境線までのアメリカ横断、パシフィック・クレスト・トレイル、通称PCTにハイキングの経験が全くない状態でチャレンジをする、という話です。
日本語版は「わたしに会うまでの1600キロ」という名前です。
女優のリーシ・ウェザースプーンさんが監督・主演で映画化もされています。
PCTハイクの人気・認知度アップにも貢献したこの本を読んでの感想です。
自暴自棄な主人公に少し共感?
この本には多くの回想シーンが含まれています。
特に母親とも素敵な思い出、そして彼女自身の元旦那との良い思い出、そして母親が亡くなってから自暴自棄気味?になりドラッグに走ったり、不倫?しちゃったり。
何やってんだよ!と主人公を叱りたくなるのが、優しくて素敵な旦那がいるのに、ドラッグや他の男と関係を持ってしまったりするところ。
母親を亡くしたことで絶望を感じ、もうどうにでもなれ!って感じになったのはウィルパワーのブログでも説明した、「What-the-hell Effect」のせいかな?
ただそう強く主人公を友達のように叱りたくなるのも、それほど感情移入できるくらい彼女のことがうまく書かれているんじゃないかと思ったりもしました。
偉そうに叱りたくなる、と書いた僕ですけど、自分が絶望、というか落ち込んでいる時に、近くにいる人がとっても優しくしてくれこと、これが逆に負担に感じたり、あるいは自分のせいでその大切な人にネガティブな影響を与えるのがいやで、あえて突き放す。なんて経験は過去に近いものはあるなあと感じました。
もちろんこれは歳をとるに連れて改善していくべきことだとは思うけど、他にも共感できる人は多いのでは?
1人旅(ハイキング)の醍醐味、自分との対話とさまざまな人との出会い。
僕はハイキングが好きですが、実はひとりでハイキングに行く方が好きです。
足をひたすら動かしながら、鳥の鳴き声や木が揺れる音を聴きながら、自分との対話に浸るのが好きだからです。
自分との対話といっても様々ですが、その時に起きている出来事(仕事・プライベート)について考えたりします。そして本当はあまり生産的ではないので避けたいのが、過去のことについて考えます。よく過去の思い出に浸ったり、あの頃はよかったなあなど自分と対話しながら考えることがあります。
この本の中でも、基本的に主人公目線で描かれているので、彼女自身の心の対話がよく書かれています。
また1人旅をしている彼女は旅の途中で多くの人に出会います。
同じくPCTにチャレンジ中のハイカーだったり、ヒッチハイクで乗せてくれたおじさんだったり。
一人旅をしていると変に人が恋しくなることがあります。これは長旅だったらなおさらです。
普段都会に住んでいると人に全く興味がない、むしろ頭の中ではこの満員電車の人が消えて無くなってしまえ!とまで考えることがあるのに、ひとり旅をしているとそう感じるのは面白いですよね。
また日常であったら絶対に話さない・仲良くならないようなタイプの人間でも(交わらないような)一人旅中に出会うと親しくなる、なんてこともありますよね。
また主人公は女性である、ということからも警戒心が強いように感じました。
それはそうであるべきだと思うのですが、意外と人間っていうのは「悪」な人っていないんじゃないかなあと自分の経験からは考えています。
もちろんこれは僕自身が今までラッキーだっただけかもしれないんですけど。どうなんだろう?
女性目線で書かれているからこそ
これはもしかしたらこの本だけのことでないのですが、女性目線で書かれているノンフィクションだったので、「へ〜女性ってこんなことも考えるのか!」「女性でもそう思ったりするんだなあ」という点がいくつかあっておもしろかったです。これは男性としての目線での感想です。
まとめるとこんな人おすすめできるかな?
1. 旅に出かけたいけど、色々な事情があり自分は今いけない人。
2. 旅にこれから出かける人。
3. 最近すごく嫌なことがあった人。
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