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知らざれらる大自然のネットワーク

更新日:2023年8月4日



オオカミが川の流れを変える??

ミミズがイノシシの数をコントロールしている??

木々がサーモンに成長を委ねている??


私たちが当たり前のように生活をしている地球。

私たちの知らないところで様々な生き物・植物が共存をしてバランスが保てているのです。


あっと驚く自然の不思議、そして周りの動物や植物に感謝の気持ちが生まれるくる、そんなブログ記事です。


Peter Wohllebenさんの本「The Secret Network of Nature」を元に書いた記事です。


目次:



オオカミが洪水を止めた話


この話の舞台となるのはアメリカ最古の国立公園、アメリカのアイダホ州、モンタナ州、及びワイオミング州に位置する「イエローストーン国立公園」です。


大きさはなんと東京ドームが19万2000個分・四国の半分くらいに値する8980平方キロメートル!


この広大の土地には地球上の約半分の温泉、約3分の2もの間欠泉があり、七色に輝く巨大な温泉が有名です。


多くの野生動物に会えることが魅力です。


時は遡ると19世紀初頭のことです。家畜のことを心配する近隣の牧場主からの要望が強く、公園内のオオカミを駆除が進みました。


1926年には最後のオオカミの群れが駆除され、公園内からオオカミが姿を消したのです。

1930年代まではぽつぽつと単体のオオカミが見掛けられたのですが、それもまた駆除されてしまいました。


人間が自然のエコシステムに手を加えたことによる悪影響が起こり始めるのにそう長くはかかりませんでした。


オオカミの1番の獲物だったヘラジカの数が急激に増えました。


オオカミに襲われる心配のなくなったヘラジカたちは思う存分に公園内の草を食べ漁りました。


そのダメージを1番受けたのが川岸です。


この川岸の草を食べものとしていた鳥やその他の生き物が、食べ物を得ることができなくなり、数が減ってしまいました。


その中の動物の1種がビーバーです。


ビーバーは草だけでなく木も主食とする動物でした。ヘラジカが木も草も食べてしまうものだから何も食べ物が残っていない状況となってしまったのです。


川岸の木や植物がなくなったことで、あたりが湿地へと変わっていき、しまいには洪水が起きるようになってしまいました。


このような状態が何十年も続いてしまいました。



1995年になってやっと人間が動き出します。カナダで捕まえられたオオカミがイエローストーン国立公園で放たれたのです。


放たれたオオカミはそこら中にいるヘラジカを食べ、次第にヘラジカの数が減っていったのです。


ヘラジカの数が減っただけではなくへラジカの行動にも変化が起きます。


オオカミを恐れ隠れる草木が少ない川岸にあまり来なくなったのです。来たとしても滞在時間を最短に抑えて去っていくようになりました。


オオカミがイエローストーンに戻ってきて数年で川岸が少しずつ落ち着いた環境へと戻っていきました。


そうなってくると川のダムを作る自然の建築家ビーバーも戻ってきたのです。ビーバーがダムを作ることで川の流れも安定した落ち着いたものに戻り、小さな池が生まれ、そこにカエルなどの生き物が住むようになりました。


オオカミが救ったのは木や川岸に住む生き物たちだけではありませんでした。


グリズリーもまたオオカミに救われた生き物だったのです。


グリズリーは秋の間ベリーを食べて冬眠に備えます。


ある日カロリーがたっぷりつまったこの果物がなくなったいたのです。そうヘラジカたちが全部食べちゃったのですね。


オオカミが戻ってきたことで、グリズリーも問題なく冬眠に備えられるようになりました。




しかし、人間が手を加えることでエコシステムのバランスに異変が起きているのはイエローストーン国立公園内だけではなく、ドイツなど中央ヨーロッパでも起きています。


ハンティングを楽しみたいハンターは獲物となるノラジカのために、コーンや干し草などを車で運んできます。


ノラジカをはじめその他の動物は食べ物に困ることなく、どんどんと以上なほどに数を増やしていきます。


また木々がどんどんと切り倒されるせいで、通常以上に太陽の光が直接地面に届き、雑草やその他の植物がどんどんと育ち、木が育つための栄養が足りない状態となってしまいます。


そんなこんなで、ドイツの森に住むヘラジカの数はかつての50倍までとなったようです。




なぜオオカミを駆除するのか?

イエローストーン国立公園からオオカミが一度駆除されていなくなりましたが、その付近の牧場主はいなくなっていません。


悲しいことに彼らの多くは考えを変えずに、公園と牧場の境にオオカミがやって来たら銃で撃って殺してしまうケースが続きました。


そんなこともあり2003年には174頭いたオオカミが、2016年には100頭まで減ってしまいました。


この話を聞くと単純に牧場主を責めたくなります。しかしオオカミが減ってしまった原因を作ったのは牧場主だけではなさそうです。


研究者達はオオカミが牧場に近づき殺されることを防ぐために、オオカミ達に首輪をつけてGPSでトラッキングすることにしました。


しかしこれがハンティングを楽しむ人達に悪用されてしまい、返ってオオカミがハンターに見つかりやすくなり殺される原因となったのです。


そもそもなぜオオカミは悪者扱いしてしまうのか?


ドイツのゲルリッツにあるSenckenberg Museum of Natural Historyの研究者によると、


オオカミの食事の50%以上を占めるのがヘラジカで、40%がイノシシとアカシカ、4%が小動物、そしてたった0.75%が家畜という統計となるようだ。


それにも関わらずオオカミが家畜の羊を襲うとそれが新聞の一面を飾り、オオカミに対する恐怖を掻き立てます。


しかしよくよく考えてみると、私たちはオオカミの兄弟と一緒に住んでいるのです。そう犬です。


犬とオオカミの違いは人間に慣れ親しんでいるか、ただそれだけです。


実は犬が人間を噛んだというケースは毎年10,000件以上レポートされています。(the German conservation organisation NABUによる)


きっとオオカミが一人でも人間を噛んだら、「危険だ!オオカミを殺してしまえ!」となってしまうのではないでしょうか?


もちろんオオカミに遭遇したら愛情を込めて撫でてあげてとはいいません。しかし、オオカミも人間も獲物とはみません。


なのでなにもこちらからしなければ危害も与えないはずなのです。


残念なことに、人間が住むエリアにやってきたオオカミに餌を与えてしまう人がいます。


一度オオカミに餌を与えてしまうと、オオカミは何度も人間が住むエリアに戻ってきてしまいます。


その結果、オオカミをみた他の村人が銃で撃って殺してしまうのです。




オオカミは大自然のエコシステムにおいて重要な役割を果たしています。人間である私たちは何も手をつけないのが、1番私たちにできることかもしれません。




サーモンが木を育てる話


木の成長にサーモンが深い関わりがあるって知っていましたか?


栄養が不足している土のエリアでは特にこのサーモンからの栄養が重要となるのです。


ではサーモンがどのようにして木に栄養を届けるのでしょうか?



まずはサーモンの一生について考えてみましょう。


若いサーモンは海へ泳ぎ、2〜4年間食べて泳いで筋肉と脂肪をつけ、大きくなります。


北アメリカ北西の海に生息するキングサーモンは最大で体長1.5m、重さは30gmまで成長します。


筋肉と脂肪を蓄え大人になったサーモンは激しい水流に逆らい、川まで泳ぎつきます。


海から川まで泳ぎついたサーモンはたくさんの窒素を体に含んでやってきます。この窒素はサーモン達にとっては必要のない栄養素なのですが、木の成長には大きなプラスとなるものなのです。


川までやってきた理由はもちろん卵を産むためです。


川までやってくる間にサーモンは銀色の皮膚や脂肪を落としてしまい、食べることもやめてしまいます。


最後の力を振り絞り、交尾をして卵を産み、そして力尽きて死んでしまいます。


そんなサーモンを楽しみに狩りをするのがクマやグリズリーです。


上流に泳いでいっているまだ大きなサーモンを食べるクマ。


季節の終わりめになると、クマも飽きてきたのかサーモンの全部を食べずに食べ残します。


その食べ残しをキツネや鳥などが地上まで持ってきてつつくわけですが、そんな骨や頭といった食べかすは地面に残されたままとなります。


そんな食べ残しやサーモンを食べた動物のうんちが地面に還り、その中に含まれる窒素が木の栄養素となるのです。


ある科学者によると川の近くに育つ木の窒素の70%が海、つまりはサーモンからくると言われています。


またサーモンからくる窒素は木の成長を3倍速めるとも言われているようです。


さらに面白いのが成長をした木がサーモンの繁殖を助けるということです。


大きくなった木が葉っぱを落とし、この葉っぱは次第に海へと流れつきわけですが、この葉っぱにはある生き物が隠れているのです。


そうサーモンの餌となるプランクトンです。


北海道大学の海洋学者が発表した研究によると、木から川へ落ちた葉っぱから酸が滲み出て、この酸がプランクトンの成長を助けるそうです。


こういったことからこの海洋学者は地方の漁師達に木を植えるようにアドバイスしています。




窒素ドーピングしすぎな木?


サーモンと木々の素晴らしい関係性を説明したところでしたが、現代の木に窒素は本当に必要なのでしょうか?


実はサーモン以外からの窒素がありすぎているのが現実なのです。


本来であれば、窒素は木にとって喜ばしいことだったのですが、


車やバイクからの排気ガスや農業によって発生する空気汚染により、都市化が進んでいるエリアでは窒素が空気中にありふれています。


元々窒素は空気中にありふれているものです。空気中の21%が酸素で78%が窒素ともいわれていて、私たち人間はそれぞれ2kgの窒素を体の中に含んでいます。


こういった窒素はもちろん人間にも木にも必要で体内で分解されタンパク質やアミノ酸へとなります。


厳密にいうと、土の中に潜む微生物が窒素を木が吸収できる生体に変換してくれます。大気中の窒素を木がそのままタンパク質やアミノ酸に変換できないのはこれが理由です。


唯一雷は大気中の窒素と酸素を合体させて、木が分解できる生体に変換してくれます。


なので、窒素というのは木にとってはとても貴重な栄養素だったのですが、、、私たち人間による文明化が進み大きく変わってしまいました。


車や電車などの乗り物が雷と同じ働きをして窒素が変換され、木に吸収され


化石燃料の副産物としてできた物体が雨となり、窒素として土にに吸収され、


食物をできる限り速いサイクルで育てるために土に窒素を含む肥料を加えたり、


そんなこんなで窒素がありすぎた状態になってしまっています。


それがなぜ問題なのか?


木の成長スピードが速すぎることです。


本来、木は最初の200年間を親木の影の下で時間をかけてゆっくり育つものです。


しかし窒素がありすぎることで成長スピードが異常なほど速くなってしまい、わかりやすくいうとスカスカな状態で大きく育ったものが多くなっています。


そのような木は菌類に対して耐性がないものが多かったりもします。


成長のスピードが速すぎる=老化のスピードも速くなってしまいます。


例えるなら、ドーピングで異常に強くなってしまった若いアスリートが燃え尽きてすぐに引退してしまうような感じです。


ここにもわたしたち人間が起こしてもしまった悪影響が現れてしまっていたのです。




ミミズがイノシシの数をコントロールする話


木々が動物たちの数をコントロールする?


映画「ロード・オブ・ザ・リング」には多くのキャラクターが登場するが、その中でも圧倒的な強さを見せてくれたのが、エントではないだろうか?


エントは木に似た巨人のような姿をした種族です。



ファンタジー映画にでてくるエントをはじめとする木は人間と同じように言葉を話してコミュニケーションをとっていますが、


現実世界でも木はコミュニケーションをとっているというとあなたは信じますか?


一つの例を挙げましょう。


ドイツの森にはブナとオークの木があります。


森に住む生き物にとって命の糧となるのが食べ物ですが、実は空腹と戦いながら冬を越えることは動物達にとっては日常茶飯事のことです。


森に住む生き物たちの中には、ブナとオークが作るどんぐりなどのタネや実を主食としている動物がたくさんいるのです。


木々が実を生産すると、それを求めてイノシシなどの動物がやってきます。食べ物が豊富であるとイノシシの数もぐっと増えます。


数が増えると種や実を食べ尽くした後、それでも足りず、まだまだ成長途中の木なんかも食べようとしています。


こんなことが起こるということを木々は知っているのです。


なので、木々はタネや実を毎年作らず、数年起きにイレギュラーで作る年を変えているのです。


さらに驚くべきことが、同じエリアにいる同じ種の木達がお互いにコミュニケーションを取って、同じタイミングでタネや実を作っているということです。


木々は地面の中でお互いがコミュニケーションできる、インターネットのようなウェブを持っています。


このウェブは何百キロも離れた木々がコミュニケーションできるほど優れたものなので、


イノシシが移動できる20キロー30キロの距離間の木々が


オンシーズンとオフシーズンのタイミングを合わせているのです。


こうすることで、今まで森の動物の数がちょうど良いバランスに保たれていたのです。




ハンターの関与


そんな木々のシステムも、人間の関与には対抗することができませんでした。


ドイツのある地域でシカがたくさん死んでしまうという出来事が起きていました。


「厳しい冬の時期に食べ物を見つけることができなくて、かわいそうなシカが死んでしまったんだ。そんなシカに餌を与えることの何が悪いんだ!」


このような主張を聞くと、確かにと納得してしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください。


発見された死体の多くを獣医が調べてみたところ、多くの死体の胃袋が食べ物でいっぱいだったそうです。


それだけではなく、腸や胃に住みつく大量の寄生虫が発見されたそうです。


異常なほどに数が増えたせいで、シカ同士の接触が増え、寄生虫が拡大してしまったそうです。


このような報告を聞いた後でも、餌を与えないことは非道だと思いますか?


ハンター達は残念ながら意見を変えることはなかったそうです。



実際にハンター達はどれくらいの餌を狩りの獲物となる動物達に与えているのでしょうか?


Ökojagdという雑誌は、1kgの獲物につきおよそ12.5kgのコーンを与えている計算になると発表をしました。


これは大量生産家畜に与えられる餌より多い量となります。


大量な餌を与えられた動物たちは異常なほどに数を増やし、木々がコントロールをすることができなくなってしまったのです。



ミミズが森を救う?


そんな森に将来はないのでしょうか?


このままどんどんと動物の数だけが増え、木々は死んでいってしまうのでしょうか?


幸運なことに木には隠れた同盟を結ぶ仲間がいるのです。


それがミミズです。


ミミズ?と聞いてびっくりするかもしれませんが、みみずがイノシシなどの動物を殺すことができるのです。


イノシシにとってミミズはしっかりと栄養を補給できる食べ物です。


平方kmの土地に300トンのミミズが住むことができると言われています。

同じスペースで生活できる、シカやイノシシなどの大きな哺乳類たちの重さは、ミミズの3分の1程度と言われています。


銃を手に入れるよりミミズを見つけるほうがどれほど簡単かがわかると思います。


ではどうやってミミズがイノシシを殺すことができるのでしょうか?


ミミズ自体はイノシシに全く害はないのですが、イノシシはミミズだけでなくミミズの中に潜む肺虫も体の中に取り込んでしまいます。


肺虫はミミズの体の中で成長し、産卵をするための寄生のホストをひっそりと待ちます。


イノシシがミミズを食べるとイノシシが新たなホストとなり、血中を流れ肺にたどり着きます。


そこで大人になるわけですが、その過程でイノシシの器官支が腫れ上がり出血してしまいます。


イノシシのうんちとともに肺虫の卵も外にでて、それをミミズが食べて、、という風にサイクルを繰り返します。


肺虫によってダメージを受けたイノシシは他の病気にもかかりやすくなり、寿命も縮みます。


イノシシの数が多いと、肺虫を運ぶミミズの数が増え、寄生虫による病気のイノシシが増えます。


この流れが続き、ある日イノシシの数に限界が来て、流れが崩れます。


イノシシの数が減り、肺虫を運ぶミミズの数が減り、寄生虫による病気のイノシシがいなくなります。


よってミミズがイノシシの数をコントロールすることになります。





私にとって睡眠はとても優先度が高いものです。


そのため自然と睡眠へのこだわりも強くなってしまったのですが、そのうちの一つがアイマスクです。


アイマスクがないと眠れない訳ではないのですが、どこへ行くにしても必ず持っていくようにしています。


カーテンを閉めても差し込んでくる街の光だったり、部屋の中の充電器やWi-Fiルーターなどの機器から放たれる光を遮るためです。


きっとアイマスクを愛用しているのは私だけではないと思うのですが、わたしたち人間以上に動物や虫もlight pollution(光害)に悩まされているのです。


光を巡っての争い


自然界において光は最も重要なものと言っても過言でありません。


木が高く成長していくのも、太陽の光を浴びるために他の木や植物より高く成長するためです。


このような光を巡った争いは自然界でよく見られるもので、競争を避けるためにあえて夜行性になったものも多いです。


ある種の花は争いを避けるために夜にだけ花をさかします。


日中は多くの花や植物が花粉を運んでくれる昆虫の注意を巡り争います。


その昆虫の代表例がハチなのですが、ハチが訪れることができる花の数には限りがあります。


よって花たちはハチにとって魅力的な色つけたり、甘ーい香りを放ったりします。


私たちにとって良い香りはハチにとっておも良い香りとも言われます。


このような争いを避けるために、”夜勤”で頑張る花たちがマツヨイイグサやムーンフラワーです。


同じ理由で”夜勤”の生活を続けるのが蛾です。


よく蝶と比較される蛾ですが、蝶が朝方で蛾は夜型なのです。


蛾の天敵は鳥なのですが、多くの鳥は日中活動をするので、蛾は夜型にシフトしたといっても説明がつきます。


日中と違い、ライバルの少ない夜の時間は安心して蜜を楽しむことができます。


しかし、この蛾のシフトに合わせてきた天敵が出てきたのです。それがコウモリ。


蛾は鳥を欺くために、落ち葉をまねた動きをします。


しかしコウモリは視覚ではなく超音波を使った聴覚で動いているものを察知する動物なので、蛾にとってはとても危険な天敵なのです。


コウモリは一夜で自分の体のおよそ半分にもなる量の蚊や蛾を食べる優れたハンターなのです。(蚊でいうと一夜で4,000もの蚊を捉えることができるそうです。)


光害による被害


このようにただでさえ生き延びていくことが大変な蛾の人生をさらに困難なものにしているのが私たちが発する光です。


蛾は夜に真っ直ぐ飛ぼうとする時に、必ず光が自分の体の決まった側にあることに注意を払います。


つまりは月の光をもとに方角を定めています。


これが至るところに街灯が溢れていると、この光が月の光だと思い込み、常に街灯が自分の左側にあるように飛行します。


月の場合は遠くにあるのでいいのですが、街灯は近すぎるのですぐに通り越してしまい、軌道を修正しようと円を描くように街灯の周りを永遠と飛行するようになるのです。


終いには疲れ果てて死んでしまったり、街灯そのものに衝突してしまうのです。。



このような光害による被害は蛾だけに起こっているものではありません。


産まれたての海亀は、お腹を空かせた敵に食べられないように孵化したらすぐさま卵がある砂浜から海へと這い進んでいきます。


まだ目がしっかりと見えないために波に反射した満月の光だけをもとに進んでいきます。


この時に問題となるのが、砂浜の近くにあるビーチリゾートやホテル、船などが発する光です。


産まれたての赤ちゃん海亀がこの人口の光に惑わされて、そっちの方向に進んでしまうのです。


結果的に安全な海からどんどんと遠く離れてしまい、天敵に食べられたり、疲れ果てて死んでしまうのです。



私たちができること


この事実を受け止め、私たち個人ができることはなんなのでしょうか?


自分のため・自然のためにできることは太陽の光に合わせて生活することではないでしょうか?


それは、できる限り太陽の光に合わせた暮らし方をすることではないでしょうか?


睡眠・起床のリズムは、体温などの自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などと同様に、体内時計によって約1日のリズムに調節されています。


このような約1日の周期をもつリズムのことを概日リズム(Circadian Rhythms)といい、


私たちの健康にとっても重要なことです。


朝陽が出てくるとともに活動を開始し、陽が沈み出すに連れて活動を睡眠へと近づけていく。


夜は部屋の大きな電気は使わずに読書灯やろうそくだけを使うようにする。


もちろんこれは理想論であることは分かっています。


中にはやむを得ずに夜に働かなければならない人もいます。


そんな時はしっかりと部屋の灯が外に漏れないようにカーテンを閉めましょう。


また家の玄関や敷地内に蛍光灯がある必要な場合は、オートセンサーのものに取り替えるとよいでしょう。



住宅街で育った私にとって夜星空を眺めることは貴重なことでした。


見えたとしてもぽつぽつ、だから貴重だったのです。


NZのマウントクック国立公園内に住んで働いていた時、毎日のように空いっぱいの星空を見ていました。


毎晩見ても飽きることがないそんな美しい星空でした。


よく考えてみると、かつては地球中どこからでもこの星空が見えていたはずです。


そんな星空は人間わたしたちだけのものでもないし、自分達の子供たちにも残していきたいものだと強く感じました。




日の入りが早くなったり、肌寒さを感じるようになったり、夏の終わりを感じさせてくれる出来事は多々あるかと思います。


その中でも今年一番にその移り変わりを感じさせてくれたのは、私が住んでいるベランダに居候していたツバメの家族が家を留守にしてどこかへ行ってしまったことです。


春から夏の間、毎朝のように鳴き声を上げていた赤ん坊たちも、せっせと餌を与えていた親たちも気がつけばどこかへ行ってしまいました。


ツバメだけではなく、この季節になると夕方空を見上げると鳥の群れが美しいフォーメーションを保ってどこかへ飛んでいく様子を


世界のどこへいてもみかけるような気がします。


なぜ鳥たちは冬が近づいてくるとどこかへ行ってしまうのでしょうか?


実際のところ、鳥の移住は世界的な現象であり毎日常に世界中のどこかで起きていると言われています。


この大移住の一番の理由は食べ物です。季節が変わることによって食べ物も変わるからです。


多くの科学者は、この移住の意思は鳥のDNAに刻まれている行動であると信じています。


しかし、いつ・どのルートで移住をするかは鳥たちの間で話あって決められているかのように


鳥たちの意志で変わっていると、エストニアの科学者であるKalev Seppさんとその同僚Aivar Leito さんは驚くべき発見を公表しています。


2人は1999年から数多くの鶴の群れの移住のルートを首輪探知機で追っています。


驚くべきことに、数年間で3つの異なるルートを選んで移住していることがわかったのです。つまりは、ルートは遺伝子的に組み込まれているのではない、ということです。


またどうも年上の鶴からルートというものは受け継がれているのではないか、と思える事実もわかってきたそうです。


イベリア豚と鶴

ここで話が変わるのですが、きっと好きな人も多いイベリアハムの生産に影響を与えていると聞いたら、信じますか?


鶴が豚を攻撃するのか?と思うかもしれませんが、そういうわけではなく、スペインやポルトガルのあるイベリア半島には鶴が大好物とするどんぐりがあるのです。


特にExtremaduraという地域の樫の木が作るどんぐりがとても質が良いようで、鶴たちの大好物のようです。


しかし、このどんぐりは鶴だけではなく、イベリア豚の重要な餌でもあったのです。


そんなどんぐりを目当てにやってくる鶴の数が北欧やアジアからも含めると、30万羽にまで至るようになったと言われています。


説明せずとも、移住してくる鶴の数が増えるにつれて、イベリアハムの生産に悪影響がでてしまうことが分かるかと思います。


なので、鳥の移住は間接的にも私たちやそのほかの生態系に大きな影響を与える、無視できない現象でもあるのです。


そもそもなぜ鳥は移住するのか?


鶴をはじめとする鳥たちは食べ物を求めて冬の間は移動するわけですが、


なぜ食べ物が必要なのか?それは簡単にいうと冬の寒さで凍死しないように、食べ物を食べてカロリーを燃やして熱を保つ必要があるからです。


実際のところ、これができず多くの鳥たちが最初の1年で餓死して死んでしまうようです。


そんな可哀想な話を聞くと近所の公園でみかえる鳥に餌を与えたくなりませんか?


この記事を通して一貫性を持っていたことは、「人間が自然に手を加えることで問題が起こる。」という視点でしたが、


鳥に餌を与えることもまた同じなのでしょうか?


自然の鳥に餌を与える


1980年代より盛んになってきたbird feeding(鳥に餌を与えること)はいいことなのか悪いことなのか?


結論からいうと、はっきりとした答えはなさそうです。


よくないという意見とよいという意見があり、まだまだ自然界には未知な部分が多いために正解がないといったところのようです。


懸念点

鳥の生態に影響を与える。


仮にあなたが庭に鳥の小屋を作って、冬の間鳥に餌を与えたとしましょう。


この行為によって、あなたはある特定の種(鳥小屋にやってきた鳥)の鳥の数を増やしたことになります。


あなたの鳥小屋のおかげでまだ若い鳥たちが冬を乗り越えて、春を迎えることができます。


しかしここで忘れてはいけないのは、あなたの鳥小屋に辿り着かなかった同じエリアにいる種の鳥たちです。あなたの鳥たちが多くの餌を食べるようになるので、この鳥たちに影響を与えることになります。


さらに自然界では、繁殖率は冬の死亡率と深い関係性があると言われています。


冬の時期に多くを失った種は、シーズン中により多くの卵を産んだり、産卵する回数も増えます。


よって、間接的ではありますがあなたが餌を与えることが生態系を変えてしまうのです。



黒い帽子をかぶっているかのように黒い頭が特徴的のBlackcap Warbierの2つの群れを長年かけて観察した実験があります。(BBCニュースの記事でもBlackcap Warbierのことが取り上げられていました。)


元々は夏の時期をドイツで過ごし、秋にはスペインの方に移住する、そんなライフスタイルだったようです。


ベリー、果物やナッツを好んで餌とします。


そんなBlackcap Warbierが1960年ごろ、新たな移住ルートを開拓しはじめたのです。それがイギリスでした。


なぜイギリス?イギリス人にはbird loverが多く、鳥に餌を与える人が多いためにスペインまで行かずとも距離的に近いイギリスに行く方が効率がいいことに気づいたのかもしれません。


さらにびっくりなのが、ここ数十年をかけてBlackcap Warbierの見た目も変わってきたということです。


自然のオリーブなどの食べ物と人間が与える鳥用の餌はとても違うので、彼らのくちばしがもっと狭く長くなり、


長い距離を飛んでスペインに行く必要がなくなったので、羽が短く丸みを持つようになったのです。


このように新しい種が産まれていくことはいいことなのか?


いろんな種類がいることはいいのですが、この新種が元の種と交尾をしていく中で、元の種の数が減って絶滅していくことが問題視する意見もあります。


実はこの現象はフルーツや野菜などの植物でも起こっていることで、現代ではDNA的に純粋なリンゴなどは存在しないとも言われています。



病原菌が拡まる。


想像できるように鳥の行動範囲は私たち以上です。


鳥同士で餌を共有したりする中で、くちばしとくちばしと接触します。


バードフィーダーを作ることで、様々な種の鳥たちが直接的・間接的に触れる機会を作ることになります。


このような媒体は菌が拡散をする上では理想的な媒体ではないでしょうか?



それでもなぜバードフィーディングをするのか?


こういった懸念点があるにしろ、アメリカでは絶滅の危機にいる鳥の種は全体の37%と言われています。


このような種を守るためにもバードフィーディングを続けるべきであると考える人もいます。


バードフィーダーにやってきた種の鳥はそうでない種と比べて繁殖率が高い、という研究もあります。


森の木を刈ったり、人間が自然界に今まで犯してきた悪い影響はリセットすることはできませんが、鳥に餌を与えることで少しでも鳥(自然)を助けることになるのでは、と考える人もいます。


こういった理由もそうですが、私がバードフィーダーを設置した理由は、恥ずかしながら鳥がベランダにやってくる景色をみることで自分が癒される、というところに一番はあるのかな、というのが正直なところです。


しかし、毎日のように小さな鳥が自分のベランダに来て餌を突いている姿を見ていると、愛嬌が生まれ、鳥に対して感情移入するようになります。


その結果、自然の鳥にとって何がいいのかをリサーチするようにもなりました。



絶滅の危機にある動物を保護する動きは世界中で起きていますが、こういった動きも”かわいそうだ””助けたい”という感情移入が源になって起きているのではないでしょうか?


世界中の人が鳥に餌を与えるくらい、感情移入することができたら、自然界を良い方向に変えることができると感じるのは私だけでしょうか?

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