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リターンスキームで未来を変える!— ペットボトル再利用とリサイクルの最前線


2024年2月にアイルランドで開始されたボトルリターンスキームが、すでに6億本以上の飲料容器を回収し、大きな節目を迎えました。このスキームは、EUが2029年までに飲料容器のリサイクル率を90%に引き上げる目標達成を目指すものです。アイルランド全土に設置されたリバースベンディングマシン(逆方向自動販売機)に飲料容器を返却することで、缶1本あたり€0.15、プラスチックボトル1本あたり€0.25の返金が受けられ、各地で広く利用されています。月間約1億本のペースで回収が進んでいるこのスキームは、開始当初から地域社会やチャリティ団体による資金調達の手段としても活用され、スキーム運営企業のCEOシアラン・フォーリー氏は「予想を上回る成果が出ている」と評価しています。



リターンスキームとは?


そもそもリターンスキーム(ReTurn Scheme)とは何でしょうか?これは、消費者が飲料容器を購入する際にデポジット(預かり金)を支払い、消費後に容器を回収場所に返却すると、預かり金が返金される仕組みです。アイルランドのように、リバースベンディングマシンを使って容器を回収するシステムが多くの国で採用され、EU諸国をはじめ、イギリスやオーストラリア、アメリカの一部州でも導入が進んでいます。このデポジットリターンスキーム(DRS)は、使い捨てプラスチックの削減と資源循環型経済(サーキュラーエコノミー)を推進するための重要な手段とされています  。


リターンスキームのメリットと目的


リターンスキームの主な目的は、廃棄物の削減とリサイクル率の向上です。デポジットという経済的なインセンティブが消費者にリサイクルを促し、適切に分別されたリサイクル素材が回収されることで、環境に優しい循環型の資源管理が可能になります。また、リターンスキームによって、以下のようなメリットが得られます:


  • 高品質なリサイクル資源の確保:家庭ゴミと一緒に捨てられないため、リサイクル素材が他の廃棄物によって汚染されにくくなり、再利用に適した状態で回収されます。

  • 経済的なインセンティブ:消費者が支払ったデポジットが返金されるため、リサイクルに対する意識が高まります。

  • 環境への影響削減:プラスチックや金属の飲料容器が適切に回収されることで、自然環境に流出するリスクが減り、海洋や土地への汚染を防ぎます。


各国の事例と日本での今後の展望


ヨーロッパの多くの国々では、リターンスキームが一般的になっており、ドイツやノルウェーではリサイクル率が90%を超え、飲料容器の循環型管理が効率的に行われています。一方、アジアではシンガポールが2025年に全国規模のリターンスキームを導入する予定で、韓国ではカフェやフランチャイズ店舗での使い捨てカップに対してデポジットシステムが導入されています  。


日本ではまだリターンスキームの導入は進んでいませんが、近年のプラスチックゴミ問題を背景に、リサイクル推進のための新しい取り組みが期待されています。日本にリターンスキームが導入されれば、ヨーロッパ諸国のように飲料容器のリサイクル率が大幅に向上し、環境保護や資源循環型経済の実現に向けて大きな一歩となるでしょう。


リターンスキームの普及により、消費者が環境保護の一端を担う意識が高まることが期待され、日本でも将来的にリサイクルの促進や持続可能な未来への道筋が整えられることが期待されます。


ポーランドの取り組み


私はポーランドに住んでいるので、ポーランドではどうなのか気になったので調べてみました。


2025年にポーランドでもDRSが導入される予定です。ポーランドでは、3リットル以下のプラスチックボトル、1.5リットル以下のガラスボトル、そして1リットル以下の缶が対象となり、回収された飲料容器に対してデポジットが返金される仕組みが計画されています。特に、大型店舗での回収が義務付けられ、小規模店舗でも自主的に回収に参加できるようにすることで、リサイクル率向上が期待されています。このスキームは、欧州連合(EU)の廃棄物削減目標達成に貢献するもので、ポーランド全土で回収体制が整備される見込みのようです。


現在でもAuchanではこのリバースベンディングマシーンをみたことがあるので、スーパーマーケットによってはすでにポーランドでも取り入れ始めているようです。

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