このブログでは、脳内化学物質「ドーパミン」の役割とその影響について詳しく解説します。ドーパミンは私たちの行動や幸福感に深く関わり、生存本能や快楽の感覚を引き起こします。また、未来への期待や恋愛における変化にも影響を与えます。
ブログでは、ドーパミンと他の脳内化学物質とのバランス、現代の「快楽中毒」についても触れます。ドーパミンの特性を理解し、より充実した人生を送るためのヒントを見つけてください。
ドーパミンの性質
私たち人類が今まで生き延びてこれたのも、文明の進化もドーパミンのおかげといっても過言ではありません。
ドーパミンは、私たちに行動を促す脳内化学物質です。主に、食べ物、安全な住まい、セックスという生存に不可欠な欲求に向かって私たちを行動へと駆り立てます。
ここまで文明が繁栄できたのもドーパミンのおかげなのです。
ドーパミンは快楽物質」ともよく言われます。それはドーパミンが放出されているときに喜びを感じるからです。
しかし興味深いことに、ドーパミンが最も放出されるのは、欲している行動が行われた時ではなく、その行動を期待している時なのです。
面白い研究があります。
2010年に、喫煙者のフライトアテンダントに2本のフライトの勤務中、いつ一番タバコが吸いたくなるかをインタビューしました。
その結果、フライト間の喫煙休憩前に衝動が最も強くなることがわかりましたが、興味深いのは、喫煙休憩中に喫煙した人にも、我慢した人にも、時間が経つにつれてこの衝動の低下が見られたことです。
映画の予告編を見ている時の方が実際の映画を見ている時より興奮するという現象も、これで説明がつきますよね。
このように、ドーパミンは現在ではなく、私たちを“未来”に執着させる化学物質でもあります。
未来 vs 今
私たちの脳内化学物質は、大きく分けて二つに分類できます。Up化学物質とDown化学物質です。
Up化学物質には、未来に執着させるドーパミンが含まれます。ドーパミンは、クリエイティビティや成功、新しいことに挑戦することや恋に落ちることを可能にします。しかし、その問題点は一時的なこと、過剰になると社交性が失われてしまうことです。これは、ドーパミンが描き出す想像の世界である“未来”に住んでしまうからです。
それに対して、Down化学物質には、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィン、エンドカンナビノイドなどがあります。これらの物質は、“今”に対して喜びを感じさせてくれるものであり、今起きていることやしていることによって放出されるホルモンです。
分かりやすい例として、実際に焼肉を食べているときには、セロトニンやオキシトシンのレベルが高くなりますが、ドーパミンのレベルは低くなります。
ドーパミンが多い人の特徴として、俗にいう“天才”と呼ばれる人たちが挙げられます。彼らは人とつるむのが苦手で、恋愛関係が長続きしないことが多く、独身であることが多いそうです。
恋愛とドーパミン
よく「彼氏・彼女と長続きしない人」が言います。「なんか愛の炎が冷めちゃったのよ。あの人との関係には何かが足りないのよね…。」
これは間違いではありません。ドーパミンが足りないのです。
付き合い始めたばかりの頃は毎日が楽しいはずです。よく「ハネムーンフェイズ」と呼ばれるこの時期は、ドーパミンラッシュの時期です。彼・彼女との未来のことを考え、あなたは“未来”に住んでいるのです。
しかし、ドーパミンは長続きしません。そのため、ドーパミンが放出されなくなると別れてしまう人が多いのです。皮肉なことに、恋に落とすのも、終わらせるのもドーパミンなのです。
ではどうすればよいのでしょうか?
ドーパミンによる恋愛はサステイナブルではないという事実を受け入れ、Down脳内化学物質を利用して関係を保つことです。
毎日“今”起きていることに一緒に感動し、そのことに感謝することで、サステイナブルで満足な関係を維持できるはずです。
面白いことに、長期の恋愛をしている人たちのドーパミンレベルは低く、独身の人のドーパミンレベルは高いというデータもあります。
”快楽”と”不快感”
「中毒」と聞くと、どんなイメージを浮かべますか?
麻薬で捕まった芸能人や、40分おきにタバコを吸いにいく同僚でしょうか?
では、10分おきにスマホをチェックせずにはいられないあなたはどうでしょうか?
著書「Dopamine Nation」の作者、Anna Lembkeさんは、現代人は”快楽”中毒であると言います。
ものがありふれた現代では、いつでもどこでもスマホを使えば“退屈”という不快感から“快楽”へと逃れることができます。この便利さが“快楽”中毒を加速させている最大の原因です。
しかし、便利さ以上に大きな要因となっているのが、私たちの不快感への対処法です。
”快楽”と”痛み”のバランス
ドーパミンが多いと、私たちの人生は幸せで有意義なものになります。ドーパミンは喜びを与え、集中力を高めてくれるからです。
逆に、ドーパミンが必要量より少ないと、常に不安を感じたり、やる気がまったく起きなくなります。
実験用マウスにドーパミン不足の状態を保ったところ、マウスは食べ物を食べるやる気さえ起きなくなり、餓死してしまったという実験もあります。
では、どうやってドーパミンの量を上げることができるのでしょうか?
まず最初に思いつくのが、スマホのゲームをしたり、お酒を飲んだり、身近ですぐにアクセスできる“快楽”を利用することです。
こうすることで、ドーパミンの量はぐっと上がりますが、“快楽”からくるドーパミンラッシュは、必ずその後にドーパミン量ががくっと減る、ドーパミンクラッシュに陥ってしまいます。
そもそも、私たちの脳は“快楽”と“痛み”が常にお互いのバランスを保つようにできています。
シーソーをイメージしてみてください…
ピザ一個ではドーパミンが出なくなり、喜びを感じるためにもっとピザが必要になります。
では、どうすればよいのでしょうか?
実は、“痛み”からドーパミンを得ることができます。著書「Dopamine Nation」では、以下の方法が効果的であると紹介されています。
冷水シャワー
冷水シャワーを浴びることで、ドーパミンが200%アップすると言われています。これはコカインと同等の効果です。冷水シャワーは一時的に不快感をもたらしますが、その後、脳がバランスを取るためにドーパミンを大量に放出します。
HIITトレーニング
高強度インターバルトレーニング(HIIT)は、ゆっくりと100%から200%のドーパミンアップをもたらします。激しい運動は一時的に体にストレスを与えますが、その後、回復期にドーパミンが増加し、長期的な快楽をもたらします。
インターミテントファスティング(断続的断食)
断続的断食は、食事を一定期間控えることで、ドーパミンレベルを自然に増加させます。午後8時から翌日正午まで何も食べないというスタイルが一番人気のあるスタイルです。食事を控えることは体に一時的な“痛み”を与えますが、その後、体は快楽物質の放出を促進し、全体的な幸福感を高めます。
ドーパミンファスト
ドーパミンファストは、意図的に快楽を控える期間を設けることです。スマホ、テレビ、甘いものなどの快楽を一時的に断つことで、脳がドーパミンの感受性を回復させます。これにより、通常の日常生活でも喜びを感じやすくなります。
これらの方法は、短期的な快楽に依存することなく、持続的にドーパミンを増やすための効果的な手段です。日常生活に取り入れて、バランスの取れたドーパミンレベルを維持しましょう。
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