数日間をかけてスコットランドの大自然の中を歩く「スカイトレイル」。
スコットランドの北西にあるスカイ島を横断するトレイルです。スコットランドの偉大な大自然の中を歩き、時には町を通過するので、自然も食も人も文化も楽しめる、そんな魅力的なトレイルです。
目次:
BASICS
スコットランドの大自然の写真をどこかで見たことがある人、その多くスポットが位置するのがThe Isle of Skye (スカイ島)。
スカイ島の名前の由来は定かではないですが、島の形が鳥の羽に似ていることから、との一説があるようです。
1226年まではノルウェーの領土でしたが、同年にスコットランドの領土となりました。
ピクサー映画「Brave (日本名:メリダとおそろしの森)」の舞台となったのもスカイ島。
スカイトレイルは正式なトレイルではないので、整備されたトレイルなどありません。サインや標識もないので、マップが必要となります。または、他のハイカーたちの足跡をたどりに進んでいかなければいけません。
スタート地点は、私たちのように南にあるBroadfordという街からスタートして、一番北のRubha Hunishという絶景ポイントでゴールする人もいれば、その逆の順路で行く人たちがいます。後者のほうが多いように感じましたが、風向きを考える、そしてクライマックスに絶景が見れるというポイントから私たちは南から北の順番で行いました。
天気
Skyeの由来は「Sky = 雲」「ye = 島」。直訳すると”雲の島”と呼ばれるだけあって、一年中いつハイキング行くにしても雨で濡れる準備をしていく必要があります。
雨に打たれて濡れなかったとしても、トレイルが整備されているわけではないので、必ず靴がびしょびしょに濡れます。
ウォータープルーフの靴を履くのも方法の一つかと思いますが、私は100%ウォータープルーフな靴なんてないと思うので、乾きやすい通気性の良い靴を履いて、泥や水などで濡れるのに慣れて、歩きながら乾かす、という方が効率が良いと感じました。
最初の頃は水溜りを避けていたのですが、途中から水溜りの中を歩いていました。そちらの方がスピードも上がります。
食べ物
ところどころでスーパーマーケットがある街があるので、そこで買いだめをする、という方法が基本になります。
小さな町でも、スーパーマーケットはないけど、カフェやレストランがある、という町がありました。そこまでを目的地にしてディナーはレストランで済ませた日もあります。
貨幣はブリティシュポンドなので、安くはなく少し高いとさえ感じました。
スカイ島までの行き方
帰りはバスでBroadfordまで。さらに別のバスでEdinburghまで。
行きは予約をしました。特に電車は予約をしないとするとでは、値段が大きく変わりそうでした。
帰りは予約なしでしたが、問題ありませんでした。
DAY0
ハイキングのスタート地点であるBroadfordという街にバスで夕方5時に到着予定で、
スーパーで食料を買いためて少し歩いてテント泊というプランだったので、DAY0としました。
しかし旅にトラブルはつきものです。Broadfordまでのバスに乗っていると、
急に「バンッ」と大きな音がなります。
何事もなかったかのように運転を続けるドライバー。
バスが予定よりも早く停車しました。
マイクなどないので、ドライバーの声がよく聞こえなかったのですが、
なんとパンクしてしまい、1時間〜2時間他のバスが来ることを待つ羽目に。
余裕をもってスカイトレイルを完歩できるプランにしていて本当によかったと思いました。
ちょうどピザ屋があったので待ち時間を利用して早めのディナー。
アクシデントのおかげで、他の乗客との会話が楽しめたことも意外な嬉しいポイントでした。
やっとのことでBroadfordのに到着。
マップをみると、DAY1にいくつかの街を通りそうなので、きっとスーパーマーケットあるだろうと気楽に考えていて
Broadfordでは夕食と翌日の朝食分くらいしか購入しませんでした。
*これが大きな間違いで、次のスーパーマーケットスポットはDAY4でたどり着くことになるPortreeまでありませんでした。
フードを手に入れ、ハイキングのスタート地点を見つけ早速スタート!
本当にサインも何もないところからスタートしました。
経度も高めのスコットランド。4月でも日が長く、9時半前くらいまで歩けるくらいの日の入りでした。
早めに良さげなテントスポットを見つけてテントを貼りました。
スコットランドのキャンプ事情
キャンプ場ではない森や池のそばなどで、テントを張って寝ることを「Wild Camping」といいます。
2003年に導入された法律により、スコットランドでは基本的にどこでワイルドキャンプをしてもいいのです。
もちろん、誰かに所有されている土地などではNGとなりますが、それ以外であればキャンプ場でなくともテントを張ることが法律的にも許可されているのです。
しかし、絶対にしてはいけないのが、火を起こすことです。
自然の中で焚き火をしたい気持ちはわかるのですが、スコットランドでは山火事が起きやすい環境となっているので、絶対にNGです。
ローカルの人に迷惑をかけない、ゴミは持ち帰る、当たり前のことを守って、スコットランドでのアドベンチャーを楽しみましょう。
寝付くことはすぎにできたのですが、夜中にあまりの寒さに目が覚めてしまいました。
テントはどちらかというと夏用?のようなもの
モンベルのダウンハガーという寝袋に
Decathlonで購入したスリーピングマット
さらにダウンジャケットを着て寝ていたました。
やはり、4月といえば一気に温度が下がりました。
一緒に寝ていたパートナーはデカトロンで買ったナイロンのスリーピングバックで温かく寝ていたようです。。
ダウン性 vs 化繊
まず、絶対にやってはいけないミスを犯してしまったのが悪いのですが、ぼくと同じようにダウンのスリーピングバッグを洗濯機で洗わないようにしましょう、、、
ダウン(毛)が固まってふかふか感と温かみがなくなってしまいます。
ダウンの方が軽くて温かい=ダウンの方が良い。というイメージが強いかとおもいますが、一概にそうじゃないかもと思えてきました。
ダウンであっても化繊であっても、大きければ大きいほど温かいことに違いはありません。
まずビーガンの人はダウンはきっと嫌だと思います。鳥の毛ですもんね。
またダウンは濡れや湿気に弱いので、雨の中ハイキングをしたあとにテント泊をすることを考えると、あまり良いオプションではないかもしれません。
あとは、化繊の方が安いし、もしかしたらあったかいのかも?
DAY1
眩しいサンライズの光とともに目を覚ましました。
昨夜寝る前にテント近くにいた羊たちはどこかに行ってしまったようです。
テントをたたみ、本格的にハイキングスタート!
The Skye Trailの前半は海外沿いに沿って歩いていくトレイルです。
広大な海を横にそこまでアップダウンも激しくない道をいきます。
スカイ島はよく雨がふるエリア。
そんなこともあり、晴れている日でも水たまりが途中にあったりします。
初日ということで、まだまだ靴は濡れていないので、水たまりをさけて歩きます。
しかし、ふと足を踏み外し、”ぼちゃん!”と水たまりへ。
泥水が靴に染み込み心地悪い。
しかし不思議なことに歩いているとこういった心地悪さも次第に過ぎ去っていき
一度汚れたからもういいや、と水たまりをさけることなくまっすぐ歩き抜ける。
そうなってくると自然と歩くペースも上がりました。
1日目ということで足取りも軽かったのですが
それ以上に足取りが軽かったのが、後ろからやってきたランナーです。
まるでヤギのように軽々とトレイルを駆け抜けるランナー。
そんなランナーと数人すれ違いました。
水や食べ物もなしに犬と一緒に駆け抜けるランナー。
きっとスカイ島に住んでいるとこれが毎日のランニングコースなのかなと
想像を膨らませました。
少しお腹が空いてきたのですが、マップで確認すると次の町までそんなに遠くありません。
きっと何か食べるところがあるはず。
その考えが安易でした。
地図に名前がでてくると、最低限のショップやレストランなどがある街と
無意識に捉えてしまうのですが、スカイ島ではその考えは通用しません。
本当に数えられるくらいしか家というか建物がないのです。
これでよく町っていえるなあ、と心底思ってしまいました。
そんなことで、これはもしかしたら食糧なくなってやばいかも、、と感じていました。
sleepy townsをいくつか通りすぎ
Torrinという街に入ってきました。
そこで見つけた、「Cafe」のサイン。
やったーということで、足をすすめます。
そこで見つけたのが可愛らしいカフェ「Amy's Place」です。
陽気なおじちゃんとおばさんが運営しているカフェ。
サンドイッチやスコーン、スープなどが食べれます。
スカイ島といえば魚です。魚のスープをいただきましたがハイキング中に温かいスープが食べれるのは最高ですね。
アルコールは置いていないのですがなにか冷たいものが飲みたい。
そんな時にみつけたのが、スコットランドの炭酸飲料「アイアン・ブルー」です。
スコットランドの国民的ドリンク「アイアン・ブルー」
オレンジ色の炭酸飲料で缶もオレンジでとても印象的です。
「スコットランドは、コカ・コーラがソフトドリンクシェア 1位でない、唯一の国だ」
なんて言われるほど、このアイアン・ブルーは国民的ドリンクのようです。
スコットランドで1901年に誕生したようで、同じイギリスのロンドンですら、なかなか見つからないほど入手困難な炭酸印象だそうです。
シュガーフリーを飲みましたが、とても爽やかで後味もそんなに残らず美味しかったです。
残念ながら日本では輸入していないようですね。
さあカフェで一休みしてお腹もいっぱいになりました。
次いつスーパーマーケットがあるかわからないという不安感からとりあえず2個サンドイッチを購入。
よくいえば”ミニマリスト”悪く言えば”ケチ”な僕は
多くの食べ物を買い込むことができない、ということをこの旅で知ることになりました。
さあこのカフェをでてカフェの看板に石がぶら下がっていることに気づきました。
これがなんともびっくりな石で天気予報ができる発明品なのです。w
直訳すると:
天気の状態
石が濡れているー雨
石が乾いた状態ー雨が降っていない
地面に(石の)影ー晴れ
(石の上に)白ー雪
石が見えないー霧
石がないーハリケーン
笑っちゃいました。
このカフェを後にし、海岸線沿いを進んでいきます。
海岸線トレイルの良いところは、自分が通ってきたトレイルが海の反対側にみえること。
今日あそこから歩き始めたのか〜なんてのが目にみえるので達成感も◎。
しっかりと食べ物をBroadfordのスーパーマーケットで貯め買いしなかったので、夜しっかりと食べ物が準備できるか心配でした。
そんな中、DAY1の目的としていたElgorという静かな村に着きました。
レストランやカフェがあることを願って。。。
村に住む少年たちが自転車で遊んでいます。
どこかレストランある?と聞くと指をさして教えてくれました。
Bistroというとてもおしゃれなレストラン。
食べ物はもちろん
ここで、スカイ島のビール「Skye Ale」を始めて飲みました。
長いハイキングを終えたあとということもあり、とても美味しかったです。
美味しいディナーの後はElgorの村から少し歩いた場所でテントを張って就寝。
DAY2
引き続き海外線沿いを歩いていきます。
朝からシャワーのような雨が降っています。
反対側からSkye Trailを反対側からスタートしたと思われるハイカーがやってきました。
「昨夜はどこに泊まった?」と聞くと
「Bothy(ボスィー)」という風に答えました。
Bothyとは?
スコットランド中の大自然にある、誰もが無料で泊まれる小屋です。
ベッドなどはないですが、ここでハイカーは自分の寝袋を広げて寝ることができます。
ブロックレンガでできたものが多いので、寒い大自然の夜を過ごすには最適です。
毎回多くのハイカーがこのBothyを利用します。
場所にもよりますが、大きいものだと、10人くらい一度に泊まることができるものもあるようです。
私たちもこのBothyをスコットランドにきたからには使ってみたいと思っていました。
しかし、Skye Trailでは2つしか遭遇することがありませんでした。(気が付かなかっただけかもしれません)
Skye Trailのアイコニックな存在でもあるのが、スカイ島の一番北にある白いBothyです。
このBothyは部屋が何個かあって、屋内の壁を白の木製でとてもおしゃれです。
今までSkye Trailを行ってきたハイカーが残したと思われるトランプとか本もありました。
さあ、このすれ違ったハイカーが泊まったと思われる海外線にぽつんとあるBothyを通り過ぎて
中を除くと泊まっているハイカーが数名いました。
ここから海外線は抜けて、山と山の間を歩いていくトレイル
ここから先20kmくらいは街や道路といったものがない中のトレイル
食べ物もハンバーガー一個ずつしかない。ちょっと緊張です。
しかもこの後いつ食べ物に巡りあえるかわからない。
そんな中この日は雨がずっと降り続けてきました。
風が強くなかったのですが、ポンチョを出してひたすら歩き続けます。
とても印象的だったのが、ハリーポッターのしゃべる帽子ににた形の山です。
これを横目に進んでいくのですが、次回は山を登っていきたいなと思いました。
空腹が何度がやってきましたが、水でお腹をいっぱいにする作戦で凌ぎました。
ウォーターフィルターボトルがあって本当によかった。
そんなこんなでこのワイルドなエリアを抜け
Sligachanという場所に辿り着きます。
駐車場やホテルがありますが、そんな中思っていなかった奇跡が。
そう、なんとクラフトビールバーがあったのです。
とてもおしゃれなCullin Breweryはスカイ島の美味しい水と作られたクラフトビアが楽しめます。
ビアよりも食べ物!といった感じでしたが、なんとキッチンがちょうど閉まってしまった模様。
ウェイターの人にダメ元で聞いてみたら、なんとスカイトレイルをしているんだ、ということに感激してくれたのか特別にスープを準備してくれました。
雨で濡れた体には嬉しいスープ。そしてケーキを6種類くらい2人でいただきました。
もちろん美味しいビールも!
ビールとケーキでお腹もいっぱいになったところでハイキング再開。
ここからも海岸沿いを進んでいきます。
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