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『Annihilation/アナイアレーション』|「わからない」が怖い。見えない脅威を描いたSF映画

  • 13 分前
  • 読了時間: 3分

 

『Annihilation(アナイアレーション)』

 

 久々に2回目を観た『Annihilation(アナイアレーション)』。初めて観た時よりも、むしろ2回目の方がいろいろと考えさせられた。それ自体がこの映画の特性を表しているような気がする。とにかく抽象的で解釈を視聴者に委ねる系の映画。 観終わった後にモヤが残って、あれはどういうことだったんだろうと頭の片隅に引っかかり続ける。そういう映画が個人的に好きで、これはその筆頭に挙げたい一本だ。ネタバレなしでレビュー。



『Annihilation(アナイアレーション)』はどんな映画?

 監督はアレックス・ガーランド。『Ex Machina(エクス・マキナ)』を撮った人だ。AIと人間の関係を描いたあの作品を観た人なら、このアナイアレーションの雰囲気にも似たものを感じるはずだ。「綺麗に答えを出さない」映画を作る人、というイメージが私の中にある。主演はナタリー・ポートマン。彼女演じるバイオロジストが、他の女性4人とともに、ある謎のエリアへと入っていく話だ。地球に隕石が墜落するところから物語は始まる。ただ、マーベル映画みたいにエイリアンが大軍で攻めてくるわけじゃない。隕石が落ちた国立公園内で、なんかよくわからない不思議な現象が起きている。その「よくわからない」が、ずっと続く。ミリタリー兵の夫もこのエリアから帰還して以来おかしい。真実を求めて主人公がこのエリアに踏み込んでいくのだが、中で起きることも、見えてくるものも、抽象的な表現ばかりで説明がつかない。



「見えない脅威」の怖さ

 マーベル映画やよくあるSF作品に出てくる「悪」は、だいたい形がはっきりしている。怪物が来る、エイリアンが攻めてくる、明確な敵がいる。見えているから怖いが、見えているから戦える。アナイアレーションはその逆を行く。何なのかわからない。ウイルスなのか、意志を持った何かなのか、それとも自然現象なのか。その「正体不明」がじわじわと恐怖を積み上げていく。ガーランド監督本人もインタビューで、観客が自分なりの解釈を持てるような映画にしたかったと話していた。ラストシーンも同じで、「結局どっちなんだ」という終わり方をする。彼は本来もっと抽象的なエンディングにしたかったそうだ。



「癌」や「自己破壊」の比喩として

 この映画を観た後に、映画の意味を調べてみるといろんな解釈が出てくる。例えば、これは「癌」の比喩じゃないかという解釈だ。侵食していく、止められない、何が起きているかわからない、細胞変異など。そういう感覚や表現が、癌という病気の体験と重なるという。もう一つは「自己破壊」の比喩という解釈。自分の嫌なところをどんどん責めて、沼にはまっていくような感覚。アディクションに近い何かを描いているんじゃないかという見方もある。どちらの解釈も「なるほど」と思わせるだけの説得力がある。一つの正解に落とし込めない映画だからこそ、観た後に誰かと話したくなる。



見終わった後に議論したくなる映画

個人的にこういう映画が好きだ。「面白かった」で終わらない映画。見終わった後にモヤが残って、あれはどういうことだったんだろうと頭の片隅に引っかかり続けるタイプの作品。友達と観て、それぞれの解釈を話し合えるような映画。アナイアレーションはまさにそれだった。稀に見るタイプの映画だ。



こんな人におすすめ

 正直なところ、万人向けではない。ドラマチックな展開や爽快なアクションを期待すると残念に感じるかもしれない。多少怖いシーンもある。びっくり系というよりは、じわじわ気持ち悪くなるタイプの怖さだ。血も出る。ただ、「意味を考えたくなる映画」が好きな人には刺さると思う。観た後に誰かと語りたくなる映画が好きなら、間違いなくおすすめできる。NetflixやAmazon Prime Videoでも観られるのでぜひ。



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