チェコといえばビール。そんなイメージが強いですが、そんなビールと同じくらいチェコ人が誇りに思っている文化が、「Špekáček(シュペカーチェック)」。
とてもでっかくてソーセージを焚き火を囲んでみんなで焼いて食べる、という文化です。
このブログでは、このシュペカーチェックを日本でハイキングをした後にやってみた経験をシェアします。
「Špekáček(シュペカーチェック)」とは?
チェコの夏の風物詩といっていいのではないかと思われるほどチェコ人にとっては重要な文化がこのシュペカーチェック。冷たいビールを片手に、友達や家族との会話を楽しみながら、でっかいソーセージを棒に刺して、焚き火でこんがり焼きます。焼き上がったら、マスタードやケチャップ、そしてパンやミニトマトなどの野菜と一緒に食べます。
正確にはこのでっかくてふっといソーセージの種類をシュペカーチェックというようですが、この行為事態もシュペカーチェックというそうです。
どこの家庭にも、そして公園やたまにハイキングトレイルにも、このシュペーカーチェックができるスペースがあります。
僕自身もチェコに滞在していた時に何度かシュペカーチェックを体験しました。やはり火には特別な力があるようで、その火を見つめながら友達や家族と何気ない話をする行為は、とてもリラックスできる効果を感じました。
奥多摩登山の後にシュペカーチェックを。
時は遡り東京に住んでいた時のことです。
その頃はチェコ人のパートナーがいました。
チェコには3年近く戻っていない、ということでこのシュペカーチェックが恋しくなったとのこと。
よしっ!じゃあ今度の登山をした後キャンプをする時にやろう!ということになりました。
その頃は僕も自然は好きだけど、火を起こしたりするアウトドアのスキルはありませんでした。
しかし、焚き火なんてただ木を集めて火をつければいいだけでしょ。子供の頃何度かやったやつだ、と軽視していました。
まずは素材集め。
もちろんチェコの太くてでかい本場のシュペカーチェックを見つけることは困難だったので、成城石井でイタリアのソーセージを購入。
次はパンです。はい、食パンなんかじゃだめです。
ヨーロッパでよくみるジャーマンブレッドを近所のパン屋で探して、高価でしたがなんとか近いものを見つけました。
そしてマスタードとケチャップと、ミニトマトと、、キュウリをスライスして、、
準備万端です!
いざ奥多摩へ!
これだけの食料+テントもあったのでバッグはなかなかの重さだったと思いますが、これもトレーニングの一つ!
この日に登ると決めた山は本仁田山。
登ったことないから、というだけの理由で選びましたが、なかなかの強者でした。。
ひたすら上り、上り、上り。。
ハイキングが終わったら、川沿いにスポットを見つけて、テントも準備できたら、いざシュペカーチェック準備へ!
まずは重要な焚き火用の枝集め。
とりあえず乾いていて使えそうな枝を集めます。
結構集まりました。
シュペカーチェック用の細いけど細すぎず、釣竿のようにアーチを少し描いている枝も見つけました!
これにソーセージを刺して焼くので、先っぽをアーミーナイフで研いでいきます。
これは楽しい。
さあ肝心の焚き火です。
風よけとして岩で円を作って。
真ん中に枝でタワーを作り、
新聞紙などの紙類が運良くバッグの中に入っていたので、それに点火!
着火したと思ったら、すぐに消える。
これは思った以上に難しいぞ、、
そう、着火剤を持っていなかったのです。
これは諦めて、近くでキャンプファイヤーをしている人に着火剤を少し譲ってもらうことにしました。
なんとか着火に成功した後のはいいけど、大きな太い木がないと長持ちしない!!
キャンプ場で売っているのは知っていましたが、変なプライドで購入しませんでした。
しかし、これはもう諦めてキャンプファイヤー用の木を購入。
さあ、ソーセージを焼こう!
ソーセージをそのまま枝にぶっ刺して焼いている僕に対して、綺麗にタコさんのようにナイフで切れ目を入れてから枝に刺して焼いている当時のチェコ人のパートナー。
なるほど。。。
、、、、
というように1回目のシュペカーチェックでは、自分はいろんなことを知っているつもりでも、いかに自分が無知なのか、ということを思い知らされました。 本やポッドキャストで日頃から多くを消費しているので、多くを知っているつもりになっていましたが、全く知らないことが多い。以前「Knowledge Illusion」という言葉を聞いたことがあります。
これは、現代人の多くが自分の知識を過大評価していて、実は初歩的で基本的なことを全く理解していない人が多い、という指摘です。例えば、毎日のように私たちが乗っている自転車ですが、このイラストを描いてみてください、と言われると、戸惑う人が多いはずです。「あれ、チェーンは両方の車輪の周りにあるんだっけ?」とか「ペダルの位置はどこだ?」とか。または、ズボンのチャックなどのファスナーが働く原理を説明してください。とか聞かれても戸惑うはずです。いつも使っているものなのにね。
少し話がずれましたが、このようなKnowledge Illusionを経験した後の2回目以降のシェぺカーチェックでは、着火剤をしっかりと準備したり、Amazonで持ち運びができるノコギリ(これはとてもおすすめです。切れ味も良くて持ち運びもしやすい。)を準備して、大きな木切って使えるようにしたりと、手際よく取り掛かれるようになりました。
BAHCO(バーコ)というスウェーデンのブランドのものです。切れ味も良い。
やはり、大自然の中でハイキングをした後で疲れてはいますが、こうやって自分の手で木を切ったり、拾ったり、そんな手間をかけて食べ物を準備し、星空の元、虫の声をバッググランドに、焚き火を目の前に、ビールやワインを片手にじっくりとシュペカーチェックが焼けるのを待つことには、素晴らしい充実感と達成感が味わえました。間違ってもヘルシーとはいえないシュペカーチェックですが、体を動かした後なので罪悪感なくモリモリと食べることができます。パンと一緒なので、思った以上にお腹がいっぱいになりました。
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