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『Ego is the Enemy』の要約と感想:エゴに支配されない賢者の生き方とエゴ克服方法


このブログはライアン・ホリデーさんの本「Ego is the Enemy」を元にした記事です。日本版は「エゴを抑える技術――賢者の視点を手に入れる」という名前で出版されています。

とても深い本で私自身も4回くらいオーディオブックで聞いてもまだ100%吸収できていないと感じます。しかし、記事としてまとめることによって自分自身のものにしていきたいです。

このブログでは、エゴの見分け方と克服方法を私自身の経験を具体的な例としてとりあげながら説明します。




私はエゴとは無縁。。?

他人のエゴに気づいても、自分は無関係だと思う人は多いかもしれません。しかし、ライアンさんによれば「人は誰しもエゴを持っている」のだそうです。

エゴとは「自分の重要性に対する不健全な信念」、つまり「自分は特別で評価されるべきだ!」という内なる声を指します。たとえ口に出さなくても、こうした声は誰の心にも潜んでいるので、決してアグレッシブな人だけがエゴを抱えているわけではないのです。


エゴが忍び寄るタイミング

人生は山あり谷あり

人生山あり谷ありと言いますが、それと同じようにこの本では人生は「夢・成功・失敗」の3つのフェーズの繰り返しであると考えます。

エゴは、ライアンさんの言う「夢・成功・失敗」の3つのフェーズすべてで私たちを誤った方向に導きます。たとえば、プロボクサーがチャンピオンを目指す「夢」の段階では、地道な努力が大切なのに、エゴは壮大なプランや短期間での成功を追い求めがち。チャンピオンになった「成功」の段階では、謙虚さや学びの姿勢が必要なのに、「自分は特別だ」と思い込みやすくなります。また、「失敗」でどん底を味わったとき、本来必要な粘り強さや自己信頼がエゴによってフラストレーションや自己嫌悪に変わってしまうこともあります。


しかし、エゴは病気と同じように症状と対処法を知っていればコントロール可能です。このブログでは、ライアンさんの理論に基づき、各フェーズでのエゴの症状と対処法を解説していきます。


なお、一見するとスティーブ・ジョブスやカニエ・ウェストのように「エゴで成功した」と思える人々もいますが、実はエゴそのものが成功要因になったわけではない点を、冷静に理解することが大切です。




「夢」の段階に忍び寄るエゴ


1.プライドの危険性

症状:プライドの危険性

1.「私は〇〇社での経験があるから他の新社員より優れている」など、自分の経歴や立場に固執する考え。

2.新しいアイデアや意見を、プライドのせいで聞き流してしまう。

対処法:謙虚さを身につける

1.自分に問いかける:「プライドを捨て、謙虚でいることで得られることは何だろうか?」

2.他者の意見に耳を傾け、学びの機会として活用する。

3.チンギス・ハンの教えを参考に、柔軟で寛容な心を持つよう心がける。

プライドはエゴの最もわかりやすい症状と言えます。「一番の〇〇になる!」や「こんな仕事は自分のような経歴のある人がすべきではない」といった心の声は、口に出さなくてもエゴの現れです。実際、あのチンギス・ハンは「偉大な山でも小さな動物たちを(自分の上)に住ませてあげる」と例え、常に謙虚さを大切にしていました。

では、具体的な場面を考えてみましょう。仕事のミーティングで、新人社員が提案してきたアイデアを「経験が浅いから」と聞き流すのか、「なるほど、自分では思いつかなかった視点がある」と学びの機会と捉えるのか。プライドを捨て、謙虚な姿勢を保つことで、周囲から得られる情報や知識は格段に増えていきます。


もちろん、長年培ってきた経験や自信を否定する必要はありません。ただし、「自分は特別だ」「他より優れている」という思い込みが強くなると、成長の機会を逃してしまう危険性があるのです。そこで重要なのが、対処法で挙げた「自問自答」と「柔軟な心」。自分が優位であることをアピールするより、周囲の意見を吸収し、より多角的な視点を手に入れるほうが、結果としてあなたの評価を高めてくれます。


2.Too much talk, very little work.(口先だけで行動が伴わない)

症状:Too much talk, very little work

1.口先ばかりで、実際の行動が伴わない。

2.アイデアを語るだけで満足してしまい、次のステップに進まない。

対処法:Work, Work, Work

1.計画や目標を話すだけでなく、具体的な行動を最優先する

2.SNSや会議での宣言はあくまで手段。宣言後は即、実行に移す。

3.ゴールビジュアライゼーションを、実際の「進捗」と脳が勘違いしないよう意識する。

大学生の太郎とたかしは、新しいYouTubeチャンネルを始めるだの、大規模なイベントを企画するだの、大きなことを口にしながらも、実際には行動に移せていません。

こうした「アイデアだけで満足してしまう」状況は、SNSや会議などでもよく見られるものです。現代のテクノロジーのおかげで、誰でも数秒で「こんな目標がある」「こんなことを始めます」と発信できるようになりましたが、投稿した瞬間に達成感を得てしまい、本来すべき作業は先送りになりがちです。

会議でも、長時間話し合ってアイデアが固まると、それだけで仕事をやりきった気になってしまいます。しかし、実際にはアウトプットに直結する行動を起こさなければ、物事は一歩も進みません。


この現象の背景には、脳が「ゴールをイメージしたりプランを語ったりするだけで、成果に近づいた」と錯覚する仕組みがあります。つまり、考えたり宣言したりした段階で満足し、実際の作業がおろそかになってしまうのです。


それを防ぐためには、行動こそが最優先事項であることを常に意識しなければなりません。アイデアやビジョンを語るのはあくまで助走であり、本当のスタートラインは、その先にある実行フェーズなのです。SNSでの宣言や会議の議論を「やった感」で終わらせず、すぐに行動へ移す姿勢こそが、結果を出すための鍵となります。


その行動はとても小さなことでもいいのです。今月3冊本を読む!というゴールがあるなら、1行でも読む。この行動が積み重なり、ゴール達成へと導きます。


3.妄想の世界から抜け出せない

映画「500 days of Summer」より

症状:妄想の世界から抜け出せない

1.根拠のない理想に浸り、現実を見ずに行動を先延ばしにする。

2.外部からの意見や助けを拒絶し、自分の考えだけが正しいと思い込む。

対処法:現実と行動を大切にする

1.客観的に「理想と現実のギャップ」を見つめ直す。

2.家族や友人など周囲のフィードバックを積極的に受け入れる。

3.妄想をアイデアの種と捉え、具体的な行動に反映させる。

この症状は「自分の理想をノンフィクション化する」傾向とも言えます。恋愛中に、ちょっとした不満を見つけると「もっと理想の相手がいるはずだ」と決めつけてしまうのは、その典型例です。

英語で「ロマンティックな妄想ばかりするけれど結局そのチャンスになかなか巡り会えない人」のことを「Hopeless Romantic」といいます。主人公が、自分の視点のみで物語を進める映画『500 Days of Summer』も、この“妄想の世界”の危うさを象徴しています。*きっと何も考えずに見ると切ないラブコメだと感じると思いますが、この視点を持ってみると、主人公の危うさに気づかされますよ。

もちろん、自分の夢や考えごとに没頭する時間自体は悪いことではありません。創造性を育んだり、自分の意志を強く持つためには大切なプロセスです。ただし、自分の考えだけが正しいと信じ込み、周囲のアドバイスや意見を一切受け入れなくなると、本来得られるはずの気づきやサポートを失ってしまう恐れがあります。


自分の考えが一番という妄想に長く浸り、現実である外部からの意見を全く受け入れなかったり、自分のことを思って近づいてくれる家族や友達までも受け入れなくなると、とても悲しい結果になる恐れがあると感じました。





「成功」のフェイズに忍び寄るエゴ

学ぶ姿勢を忘れてしまう。

症状:学ぶ姿勢を忘れてしまう

1.何でも知っているふりをして、新しい意見や考えを閉鎖的に扱う。

2.成功すると「すべてを知る必要がある」と感じ、自分の学びを止めてしまう。

対処法:オープンマインドを保つ

1.居心地の悪い環境にあえて身を置き、自分が無知だと感じる機会を作る。

2.全く未知の分野の本や情報に触れ、新しい刺激を積極的に受け入れる。

3.相手の文化や考え方をオープンに吸収する姿勢を持ち、学びを継続する。

チンギス・ハンは特別な才能や裕福さに恵まれていなかったにもかかわらず、敵の戦闘方法や文化をどんどん取り入れる“永遠の生徒”としての学ぶ姿勢を忘れなかったからこそ、広大なモンゴル帝国を築き上げることができました。

芸術や文学などのモンゴル文化が特に残っていないのも、彼が常に敵や外部の文化を吸収していたからではないでしょうか?中国にレモンが伝わったのも、ヨーロッパにお茶が伝わったのも、彼のオープンマインドな学ぶ姿勢のおかげと言われています。

何かを達成すると、「すべてを知っていなければいけない」というプレッシャーを感じがちです。その結果、知ったかぶりで学ぶ姿勢を失い、新しい意見に閉鎖的になるのはエゴの表れともいえます。そうならないために、あえて自分が無知だと感じる環境に身を置き、まったく未知の分野の本を読み始めてみるのはいかがでしょうか?

チンギス・ハン
永遠の生徒であったチンギス・ハン


過去を美化・物語化してしまう。

症状:過去を美化・物語化してしまう

1.成功を振り返るとき、地味なプロセスを省いて壮大なストーリーに仕立ててしまう。

2.一夜漬けや運命的な成功に見せかけ、自分や他人を誤解させる。

対処法:退屈なプロセスも受け入れる

1.日々の地味な努力や細かいルールを大切にし、コツコツ行動を積み重ねる。

2.成功のタイミングはコントロールできないと理解し、「今できる行動」に集中する。

3.メディアや周囲の美化ストーリーに流されず、自分の実態をしっかり把握する。

グーグルの創業者ラリー・ページは「そのサービスが世界を変えられるかどうか」で企業を評価すると語りましたが、実際にグーグルが始まった当初は「世界を変える」なんてことは考えておらず、単純な好奇心や便利さの追求が出発点でした。YouTubeも、「テレビメディアを一新する」ことを考えていたのではなく「友人同士で面白いビデオをシェアしたい」という単純な思いがきっかけだったのです。


ところが私たちは、自分や他者の成功を振り返る際、こうした地味なスタートを忘れ、“もともと世界を変えるつもりだった”といった大げさなストーリーに置き換えてしまいがちです。



そんな中、自己の成功を安易に物語化しなかったのがビル・ウォールシュ監督。負け続きだった「49ers」をたった3年で王者に導きましたが、就任当初から「いつ王者になるか」は考えず、「Standard of Performance」という細かいルールを日々こなすことだけに専念しました。


「いつ(When)、どのように(How)、何(What)をするべきか」を非常に詳細にしたルールブックでした。


コーチ陣は試合ではネクタイをつけること。

ロッカールームは常に綺麗であること。

クォーターバックはこうやってボールを投げること。


とにかく細かい詳細にこだわり、それをチーム全員に徹底させました。


「我々はこのStandard of Performanceを日々こなすだけで、そうすればスコアは自然と上がる。ただいつ王者になれるかは知らない。これは我々がコントロールできることではない。」


過去の経験を美化して物語化し続けると、それがあなたを傲慢な人間にしてしまいます。そしてあなたの人生を妄想の世界に変えてしまいます。


テレビや新聞などのメディアを消費していると、多くの”スーパースター”と呼ばれる人たちは一夜漬けで有名になった、成功者になった、という印象を受けがちです。


なぜなら一般の消費者である私たちは、退屈な話より、映画のようなエキサイティングで夢にあふれる”ストーリー”を好むからです。


しかしどんな成功者も長い苦労や困難を乗り越えて成功を手にしたことを忘れないようにしたいですね。


また、ビル監督のように何かを成し遂げた時に私たちもその経験を美化してストーリー化するのではなく、退屈で質素なプロセスを忘れないようにしたいですね。今に集中し、行動を起こすことに集中しましょう。


最後に私の好きな本の一つ「Atomic Habits (邦題:『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』」からの引用を紹介します。

“Really successful people feel the same lack of motivation as everyone else. The difference is that they still find a way to show up despite the feelings of boredom.” ~ James Clear, Atomic Habits

翻訳すると、

「成功者も他のみんなと同じようにモチベーションの欠如を感じることがあります。(成功者とそうでない人の)違いは、成功者は退屈な気持ちにも関わらず、それでも実行する方法を見つけ出すことです。」

「Atomic Habits (邦題:『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』」についてはこちらのブログで深掘りしています。





「失敗」のフェイズに忍び寄るエゴ

外部の要因でしか「成功」を定義できない

症状:外部の要因でしか「成功」を定義できない

1.他人の評価やお金など外的な結果が得られないと、「自分はダメだ」と全てを投げ出してしまう。

2.自分の努力が報われないと感じた瞬間に、やる気や継続意欲を失ってしまう。

対処法:成功の定義を見直す

1.成功を「結果」ではなく「全力を尽くしたこと」に置き換える。

2.評価や報酬をコントロールできない外的要因と捉え、行動そのものの価値を大切にする。

3.ベストを尽くしたという自己満足が「心の平和」につながると理解し、エゴに振り回されない。

中学・高校時代、私はバスケに没頭し、部活のほか家の前でもドリブルや走力の練習に励んでいました。試合で活躍するため、テレビゲームや漫画を我慢して街灯の下で自主練習を重ねました。


ところが、中学のチームでは自分より上手い選手が多く、やっと6番手。高校では士気が低く、サボるメンバーもいて、努力の成果がなかなか形になりません。真面目に練習しているのに、いつも遊んでばかりの友人や後輩がスタメンになる現実に直面し、「どんなに頑張っても報われない」と思うようになり、高校2年の後半からは熱意を失ってしまいました。


実は、こうした理不尽や不公平さは、人生のあらゆる場面で繰り返し訪れるものです。大事なのは、努力の価値を他人の評価や外部の結果で決めつけないこと。自分がコントロールできない要素まで抱え込んでしまうと、結果が出ないたびに「自分はダメだ」と投げ出す悪循環に陥ってしまいます。



では、このような状況でエゴに振り回されないための方法は何でしょうか?

それは、「成功」の定義を、他人からの評価やお金といった外的要因から、行動を起こすこと自体を価値とする内的要因へと見直すことです。


アメリカのバスケットボールの名門UCLAの名コーチ、John Woodenは成功を次のように定義しています。


"Success is peace of mind, which is a direct result of self-satisfaction in knowing you made the effort to do your best to become the best that you are capable of becoming.”

「成功とは、最高の自分になるために全力を尽くしたという満足感から得られる心の平和である。」

どれだけ努力しても上司に評価されないこともあります。

配偶者に感謝されないこともあるでしょう。

マラソン大会で思うような結果が出ないこともあります。


このような出来事はこれからも起こるでしょう。

その時、あなたはエゴに支配されて全てを投げ出しますか?

それとも、自分のベストを尽くしたことを自分で認め、成功(心の平和)を手に入れますか?



Dead Time(受け身の時間)


症状:Dead Time(受け身の時間)

1.時間を無駄にして、何かが起きるのをただ待っている。

2.不運な出来事に文句を言ったり、未来の妄想に時間を費やし、現在を活かさない。

対処法:Alive Time(能動的な時間)を選ぶ

1.受け身で待つのではなく、学びや成長のために時間を使う。

2.起きた出来事にどう反応するかを自分で選び、時間をコントロールする意識を持つ。

3.小さな時間でも本を読んだり新しいスキルを磨いたりする行動を取り入れる。

若き日のマルコムXは、20歳で強盗の罪に問われ、8〜10年の懲役を宣告されました。この状況は、人生が終わったように思えるかもしれません。しかし彼は、絶望や怒りに支配される代わりに、牢屋での時間を学びに費やしました。辞書や宗教書、社会学の本を読み漁り、後に「本が私の宗教であり、牢屋が私の大学だ」と語るほどに成長を遂げたのです。


このエピソードは、「Alive Time」と「Dead Time」という時間の使い方の違いを教えてくれます。Dead Timeは、ただ受け身で時間を無駄にする状態。一方で、Alive Timeは、自分で時間をコントロールし、学びや成長に活用する状態を指します。


私たちの時間の過ごし方も同じです。たとえば、電車が止まったとき、ただイライラして待つのではなく本を読む。家から出られない状況で、ネットフリックスを見続けるのではなく、英語の勉強を始める。このような選択が、Dead TimeをAlive Timeに変える鍵となるのです。


私たちには、起きる出来事をコントロールする力はありませんが、その出来事にどう反応するかは選べます。文句や妄想に時間を費やすのではなく、今この瞬間を大切にすることで、充実した人生を築けるのです。



アンガーマネジメントとエゴ


イメージしてみてください。

あなたは、日々ジムで筋トレをしていて自分の肉体にも自信があります。

さらにここ数年柔道をしているので、自己防衛スキルにも自信があります。


ある日のこと、可愛い自分の子供たちと愛する奥さんと外食をした帰り道に、酔っぱらった数人の青年たちが道の反対側から歩いてきます。


通りすがる時にこの酔っぱらった男たちがごつんと軽く自分の息子にぶつかってきました。


謝ることもせず、むしろこちらのせいかと思わせんばかりにこちらを睨み、ヘラヘラしています。



さあ、あなたならどうしますか?


奥さんに”かっこいいところ”を見せるために、一発「おい!」と相手に喝を入れますか?


息子にもお手本となる姿を見せるために、酔っぱらった男たちに「あやまらんか!」と注意しますか?


格闘技には自信があるので、家に一度子供と奥さんを送り届けて、こいつらを痛めつけて過ちを犯したということを思い知らせてあげますか?



もうひとつのストーリーです。


あなたがガールフレンドとバーで楽しく飲んでいる夜のことです。


あなたがトイレに行って帰ってくると、知らない男数人があなたの彼女が嫌がっているのに、しつこく連絡先を聞こうとしています。


さらに、なんと彼女の腰に手を回そうともしている!!


あなたの怒りはマックス!


日頃から体を鍛えているのでけんかには自信があります。


さああなたはどうしますか?



実はこれ、米海軍特殊部隊の元司令官ジャッコー・ウィリンクさんのポッドキャストによせられた質問です。

ジャッコーさんは柔道ブラックベルトで、見た目も獣のような人です。


さあこの質問に対して、ジャッコーさんはなんと答えたと思いますか?


「なにもするな。」


この答えを聞いて、特にジャッコーさんの強さを知っているからこそ、多くの人がびっくりしました。


彼の説明はこうです。


考えてもみろ。

もしかしたら、この酔っ払い達がナイフを持っているかもしれない。そうなると取り返しのつかないことが家族にも起きるかもしれない。


たとえあなたがパンチでこの失礼な男をノックアウトしたとして、あなたが得ることができるものはなんだ?


あなたは暴力をふるったということで警察送り。

またはこぶしが腫れたり、手の指が折れたりして1ヶ月間仕事ができない、そんなことが起こりうる。


それに対してぐっとこらえてなにもしなかったら、いつも通り家族や彼女と幸せな残りの夜の時間を過ごし、平和な翌朝を過ごせるじゃないか、と。


そして本当にあなたのことを愛していて、あなたが日々体を鍛えていることを知っている奥さん、彼女だったら、けんかなんかで示さなくても、あなたが強い、頼れる人間だってことは知っているはずだ。


自分に失礼なやつに一発喝を入れたいとか、彼女にかっこいいとこを見せたいとか、その時の感情で大きな過ちを犯すことはエゴだといいます。




客観的に観察する ディタッチ とは?


自分が何を結果として求めているのか、これを感情的にならずにエゴに飲み込まれずに、自分、そしてその自分が置かれているシチュエーションを客観的に観察することが大切だと、Jockoさんは何度も何度も言っています。


これをdetach(ディタッチ)といいます。

アタッチの反対でディタッチ。


多くのシチュエーションでこのdetachのスキルを使うことができます。


私自身もこの"detach”のスキルには何度も助けられました。


仕事でも、「なんでこんなこともわからないんだ?」と感情的に相手を責めるだけでは解決しなかった問題も、一度ディタッチすることで、自分が見えていなかった相手の立場が見えてきて、スムーズに問題解決に繋げることができます。


恋人や友達とのやりとりでも、感情に任せて発言をしていただけでは見えてこなかったことが、ディタッチをして客観的にシチュエーションを観察してみたり、聞くことに徹してみたりすることで、相手が本当に言おうとしていることがなんとなく分かってきて、大切な関係を一瞬の感情で台無しにすることを防ぐこともできます。


とは言いつつも、実際に感情的になった時にこのディタッチを実行することは難しいものです。


そんな人へJockoさんからのアドバイスは、文字通りディタッチすることです。


会社の会議がヒートアップしている。だったら文字通り、一度席を立ってdetachすると全くみんなが見えていなかった全体像が見えてきます。


友達と口論になってきている。だったら文字通り、一度トイレに行ったり、他の部屋に行ったりしてその場を離れる。


頭でディタッチできないなら体でディタッチする、ということですね。


これを何度も繰り返すことで、練習することで身につけることができるものだといいます。


またこれは個人的な考えなのですが、瞑想でもこのディタッチを練習することができます。瞑想でディタッチのスキルを身につけると、自分のことを客観的に観察できるようにもなります。


「なんで自分は今日悲しい気分なんだろう?」

「なぜ今朝は気持ちが休まらない、そわそわした気分なんだろう?」

「今日は背中が痛いなあ。なぜだろう?」


なかなか見落としがちな自分の声にもきっと早く気づけるようになるはずです。


そんなJocko Willinkさんは本もいくつか出版していて、どれもおすすめです。

よかったらチェックしてみてください。


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