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アウトソーシングの危険性 — 子育てと「プロセスを奪う」問題

  • 執筆者の写真: Takuya Sakoda
    Takuya Sakoda
  • 18 時間前
  • 読了時間: 5分
アウトソーシングの危険性

 

 アウトソーシングやオートメーションは基本的に大賛成だ。単純な作業を他の人や機械に任せることで時間が生まれ、自分が本当にやるべきことに集中できる。生産性が上がるし、何より賢い選択だと思っている。ただ最近クレイトン・クリステンセンの「How Will You Measure Your Life?(日本語版:イノベーション・オブ・ライフ)」の第7章を再読していたら、「これはちょっと待てよ」と感じる点があった。今日はその話をしたい。



サウスパークのエピソードが刺さった

 


 アメリカの大人向けアニメ「サウスパーク」。毎回実際の社会問題を皮肉たっぷりに描いていて、ニュースをあまりみない自分でも「今これが話題なんだ」とわかるのが好きな点だ。

最近見たエピソードで、印象に残っているものがある。食洗機が壊れた家族の話。父親が「よし、子どもたちに大切なことを教えるいい機会だ。」と言って子ども達を集める。何かと思えば「こういう時は修理屋を呼ぶんだ」と説教する。 呼んだ修理屋は来るものの、部品が足りず出直しになる。「明日来れる?」と聞くと、「予約が3ヶ月先まで埋まってるんだ」という返答。

要するに、AIやその他のテクノロジーが拡まり、誰もが自分で何もできなくなったせいで、技術職の人たちが引っ張りだこになってしまっているという話。ブルーカラーとホワイトカラーの立場が逆転した世界を、皮肉たっぷりに描いていた。見ていて笑えるのだが、「あながち冗談じゃないな」とも感じた。



アウトソーシングがダメなケース — ビジネスの例

DELL

 「How Will You Measure Your Life?」の中に、DELLとASUSの話がある。DELLはコストを下げるためにASUSにコンピューターの製造を全て任せていた。数年後、ASUSはDELLから学んだ技術とスキルを使って、自社ブランドのコンピューターを出し始めた。DELLは大切な能力ごと“アウトソーシング“してしまっていたわけだ。これはビジネスの失敗談だが、同じことが自分たちの生活でも起きうる。



子育てとアウトソーシング

 多くの親は子どものためにと英語教室、塾、ピアノなどの習い事させて送り迎えまでしてあげる。それ自体は悪くない。問題は、そうすることで子どもが「プロセス」を学ぶ機会を奪ってしまっている点だ。

プロセスとは何か。問題を自分で解決する力や、持っているリソースから何かを作り上げる力だ。これをするとあれができなくなるというトレードオフの感覚や因果関係、頑張った末に何かを手に入れたときの達成感。こういった、生きていく上で必要なものの総称だと自分は理解している。

例えば掃除. ルンバがあって, 家事代行も頼んでいれば, 子どもの部屋はいつも綺麗な状態に保たれる. でもそうすると, 片付けをしなかったらどうなるか, という経験を子どもはできない. くしゃみが増えるとか, 足元に置いたおもちゃで怪我するとか, そういうちょっとした「結果」を体で学ぶ機会がなくなる.

お小遣いも同じ. 欲しいものを何でも買ってあげることは, 一見やさしい親に見える. でもそうすると, 「この英語の本を買うなら車のおもちゃは諦めなければいけない」という選択の感覚が育たない. お金には限りがあって, 何かを得るためには何かを手放す, というプロセスを身につける機会がなくなってしまう.


ここで一つ, 少しきつい話をすると.

親が「子どものために」と言ってしていることの多くは, 実は「自分がいい親でありたいため」だと本の中では指摘している. 子どもに悲しい思いをさせたくない, つらい経験をさせたくない, そういう気持ちはわかる. でもそれは子どもへの配慮というよりも, 自分自身の不安や欲求を満たしているに過ぎない部分もある.

冷静に考えると, 子どもが試行錯誤して, 失敗して, 自分で乗り越えるプロセスを奪っているのは, 親自身だったりする.



アメリカの若者の離職率

本の中では, 特にアメリカの若い世代の離職率がここ数年で非常に高くなっていることにも触れていた.

その原因の一つとして挙げられていたのが, まさに「プロセスを十分に身につけないまま大人になってしまったこと」だ. 問題解決の経験が乏しいまま社会に出てしまうと, ちょっとした壁にぶつかったときに乗り越え方がわからない. 責任を任されたときにどう動けばいいかもわからない. そういう人が増えているということだ.



バイトは本当によかった

これに近い話で, アルバイトの経験もそうだと思う.

飲食のホールやウェイターとして働いたことがある人は, 大人になってマネジメントのポジションについたときに, その立場で働く人たちの気持ちがわかる. どれだけきつい仕事か, どういうことに気を使っているか, 体で知っているから. 経験したことがなければ, 絶対にわからないことだ.

また, そういったバイトを経験したことで「この仕事だけはしたくない」と思って, 他の道を必死に模索したなんて話もよく聞く. それもまた, プロセスの一つだ.

バイトは学業を疎かにしてまでするものではないけれど, やっておいてよかったなと改めて思う.



何でもアウトソースすればいいわけじゃない

掃除や皿洗いは, お金に余裕があればどんどん任せればいいと思っていた. 任せることで子どもと過ごす時間が増えるなら, それはいいことだとしか考えていなかった.

ただよくよく考えると, そこには「見えにくい大切な機会」が隠れている.

何でもやってもらえる環境は, 子どもにとってやさしいようで, 実はプロセスを学ぶ機会をどんどん奪っていく. 親が「子どものために」と思ってすることが, 実は「自分がいい親でありたいため」であることも多い.

自分もいつか子どもができたら, このことは忘れずにいたい. 改めてそう思わせてくれる内容だった.



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