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最強の集中力

更新日:2022年10月24日



このブログは、Nir Eyal (ニール・イヤール)さんの「Indistractable」という本をもとにした記事です。


Nir Eyalといえば、多くのゲーム会社やアプリ会社のバイブルとなった、人を虜・アディクトにするにはどうすればいいのかを説明した、「Hooked(日本語名:ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール)が有名です。そんな彼が逆にこういったアプリなどのテクノロジーに邪魔をされずに、本当に自分が集中したいことに集中するにはどうすればいいのか?そんなことを書いた本です。


目次:




気が散ることの真の原因


そもそも気が散るとは?障害とは?

よし毎日仕事から帰ってきて夜8時からフランス語の勉強をしよう!

そう決めたのに、「〇〇さんがあなたをフォローしました。」という通知がきてインスタグラムを開いてしまい、気づいたら夜10時になっていた。


こんな経験は誰しもがしたことがあると思います。


健康になるために毎日ランニングをしないと。

留学をしたいからTOEFLでいい点数を取るために英語の勉強をしないと。


ほとんどの人はしなければいけないことを分かっている。このしたい・しないといけないと決めてプランされたことをこの本では「Traction(トラクション)」と呼んでいるのに対して、それと逆方向にあなたを引っ張ってしまうものが「Distraction(ディストラクション)俗にいう障害・気が散ること」です。


何が障害なのかをはっきりさせるためには、まずTractionが何なのかを分かっておかなければなりません。


またこのTractionは人によって、または時によって変わってくるものでもあります。

例えば、メールボックスを0にするということは仕事中はTractionかもしれませんが、週末家族と一緒に夕食を食べている時にはDistractionになります。



障害の原因


イェール大学のZoe教授の話をします。

Zoe教授がTED talkで彼女がどのようにして万歩計にアディクトになっていったのかの話をしていました。

この万歩計アプリでは友達と競争できたり、歩くことで空想の世界でショッピングできるコインがゲットできたりとゲーム感覚でウォーキングが楽しめる仕組み。


彼女は気づけば、家族との時間も犠牲にして歩きにいったり、終いには、夜寝ようとしたらこのアプリから通知がきて「あと〜〜ステップ歩けば、エクストラ〜〜ポイント」が来たので、これあとちょっとやん!とことで歩き始め、気づけば朝2時まで歩いていた、というくらいアディクトになってしまったようです。


この経験を例に、彼女は、「行動を夢中にさせる方法」という内容のTEDトークでした。



しかし、このストーリーには、TEDトークでは語られていないポイントが実はあったのです。

このTEDトークを聞いてNirさんは、もっとこのことについて知りたかったので、Zoeさんにいろいろと聞いてみたようです。


すると、このテッドトークでは語れなかったことをZoeさんは話してれたようです。

この万歩計アプリという悪魔に乗っ取られていた時期、Zoeさんは結婚、仕事で多くの問題を抱え大変な時期だったようです。何事もうまくいかず、そんな現実から逃避する方法が、この万歩計アプリだったと語ってくれたようです。万歩計アプリでコインなどをもらうことで満足感を得ていたようでした。



行動の原理

あなたが朝起きてコーヒーを飲んだり、仕事帰りに駅でクロワッサンを買ってしまうことも理由なしに行っているように見えて、全ての行動にはその行動のトリガー(きっかけ)となるものがあります。トリガーと聞くと、焼きたてのクロワッサンの匂いのように、外部からのものと考えがちですが、トリガーには、内部からのトリガー(Internal Trigger)と外部からのトリガー(External Trigger)があります。


Internal Triggerの例:

  • 朝起きたばっかりとぼーっとしているからコーヒーを飲もう。

  • 金曜日の夜なのにひとりぼっちで寂しいから友達に電話をしよう。

  • 肌寒く感じたので上着を着よう。

External Triggerの例:

  • スマホに「〇〇さんがあなたをフォローしました。」を通知が来たのでスマホを開こう。

  • 仕事中に同僚が話しかけてきたので、仕事を中断してランチに行こう。

  • 急に雨が降ってきたので、洗濯物を部屋に入れよう。


一般的に「気が散る原因・集中力の障害(distraction)」と言われるのがこのExternal Triggerです。


スマホやアプリなどのテクノロジーが発達してからこの集中力の障害(distraction)が注目されるようになったのですが、実は私たちがまだマンモスを狩っていた時代から私たちには障害とともに進化を続けてきました。



気が散ることの真の原因

先ほどのZoeさんの話に戻りますが、果たしてZoeさんが自分の睡眠時間を奪ってまで万歩計にはまってしまったことの原因はアプリから来る通知が真の原因だったのでしょうか?Zoeさんはこの当時のことを振り返ってみて、そうではなく、プライベートで抱えていた様々な問題からくる不快感が真の原因だったと言っています。



確かに僕も一番SNSなどで一番時間を無駄にしたなあと思った時期は、バリにいた初期のころだったかもしれません。

全くだれも知らずに1人でバリに移り住んだので、まだ友達もおらず、恋人もおらず、1人ぼっちでした。職場でも同僚はいるがほとんどの時間は1人で働くことが多かったです。そんな”疎外感”という不快感を紛らわせるために、SNSを必要以上利用していたのかもしれません。


あなたにとって本当に重要なことに集中する。これを邪魔するような行動がdistractionです。

全てのdistractionの原因は、表面的に見ると、テクノロジーなどによるexternalトリガーだと思いがちですが、本当の原因はあなたがかかえるこのなにかしらの”不快感”にあると言います。


さみしい、いらいら、緊張、疎外感、などなど。

こういった不快感、から逃避したいがために、この不快感を紛らわせるために、あなたが”distraction(障害)”とよぶ行動を起こしてしまうのです。

なので、この不快感つまりはインターナルトリガーが真の原因なのです。


この根本的な不快感をアタックしないと、いくらexternal triggerを排除しても結局は同じことの繰り返しになってしまいます。


この不快感とうまく付き合う、またはコントロールする方法を学ぶことで、皆さんも「最強の集中力」を身につけていきましょう。



不快感と付き合う方法


「不快感」の対処法


スマホやその他のテクノロジーがあなたの集中力のなさの原因ではなく、誰しもが抱えるなにかしらの不快感が真の原因である、ということが分かったのですが、


この「不快感」に対して私たちができることはあるのでしょうか?


わたしたちがこの「不快感」に対してできることは二つです。


  1. 「不快感」を消し去る方法を学ぶ。

  2. 「不快感」とうまく付き合う方法を学ぶ。

ニールさんは、「不快感」とうまく付き合う方法を学ぶことの方が効果的だといっています。


ではどうやって「不快感」と付き合っていけばいいのでしょうか?


科学者になり自分を観察


ここから科学者になったつもりで考えてみましょう。


科学者というからには、研究対象が必要ですよね。


はい、あなたの研究対象は、あなた自身です。


研究者であるからには、いつでもフェアな目線で、感情移入せずに、研究に取り組んでください。


次回、あなたが障害と考える行動を起こそうとした時、その時のあなたの気持ちを観察して、ノートにメモをとってみてください。


例えば、


僕自身の研究の様子を一部公開します。


Takという動物がいます。


健康になりたい、無駄遣いを減らしたい、というのがこの動物にとって重要なこと(Traction)のようです。これに反する、高頻度にピーナッツを一袋衝動的に食べてしまうという、というのがこの動物の障害(Distraction)のようです。


みてください!言ってるそばからまたピーナッツを水のように飲むように食べています。


よし、感情を観察してみましょう。


この特別な虫メガネを使えば、どんな動物の心も見えます。


ほおほお、疲れた時に食べているなあ、


お、今度はイライラしている時に食べているなあ、、


そもそも何でイライラしているんだろう?


なるほど、必要以上に長いミーティングに自分の時間を取られることに対してイライラしているぞ。など見えてきました。


アマチュアの科学者とプロの科学者の違いは、好奇心をもって研究に取り組むことです。


よくアマチュアの起こすミスは、ああなんて自分はダメなやつなんだ、、と自分を責めてしまうこと。


感情はいれてはいけません。科学者としてプロフェッショナルに。。。



この研究を繰り返していけば、あなたという動物の習性が分かってくるはずです。


そうすることで、障害の真の原因、「不快感」について知ることができます。


「不快感」の正体がわかったら、ヘルシーな方法でこの不快感を解消してあげましょう。


疲労感を解消するためにしっかりと睡眠時間を確保する。


必要以上に長いミーティングに自分の時間が取られることが原因でイライラしているのであれば、ミーティングを効率よく行う方法をチームに提案してみる。


そうすることで、障害(Distraction)の根本的な原因である不快感を解消しましょう。



衝動の波に乗る


「不快感」をうまく解消できればいいのですが、100%毎回解消できないこともあります。そんな時はどうすればいいのでしょうか?


そもそも「不快感」が原因で起こる障害は衝動のようなものです。


例えば、


退屈という「不快感」が原因で、仕事中に1分おきにTwitterを開いてしまう衝動が起きたり、


会社の上司が怖いという「不快感」が原因で、友達とランチを食べているのに、会社の上司からのラインメッセージを返さずにいられないという衝動が起きたり。


そんな時に役に立つスキルが波乗りのスキルです。


はい、ビーチに繰り出しましょう。


冗談です。


衝動は波のようなものです。


砂浜に立っているあなたに近づいてくる波をイメージしてみましょう。


遠くの方からやってくる時は小さくて、それがどんどん大きくなって、近くにつれて小さくなってきますよね?


ツイッターをチェックしたくなる衝動も同じです。どんどん大きくなっていきますが、あなたが衝動に屈さなければ、次第に小さくなっていきます。


それをうまく証明した面白い実験があります。


2010年に喫煙するフライトアテンダントに2本のフライトの勤務中いつ1番タバコが吸いたくなるかをインタビューしました。


その結果、フライト間の喫煙休憩中前に衝動が1番強くなったのはそうですが、面白いのが、喫煙休憩中に喫煙した人にも、我慢した人にも、この衝動の低下がみられた。


私たちもこの衝動の波に、プロサーファーのようにうまくCatch the waveして波に乗ることで対処できます。


ある研究でもこの衝動の波にのるという方法を7日間訓練することで、喫煙者のタバコが吸いたくなる衝動を37パーセントさげることに成功したという報告もあります。


この原理を活かして、「10分ルール」という方法もおすすめです。これはどんな衝動もとりあえず10分待ってみる、というものです。


甘いものを食べないようにしているのに急にシュークリームが食べたくなってきた。


とりあえず10分間この衝動の波に乗ってみる。10分立ってもそれでも食べたい衝動があったら食べる。というものです。


僕も何度かこの方法を試したのですが、面白いもので10分待っている間にこの衝動のことを忘れてしまっていることがほとんどでした。




川の流れのように


その他の衝動の対処法として、今度は川をイメージしてみましょう。


自分の目の前に大きなゆったりとした流れの川があります。


その川の上に大きな葉っぱが次々と流れています。桃太郎の桃のように。。


あなたの中に衝動が出てきたら、そっとこの葉っぱの上にその衝動をのせてあげましょう。


あなたの目の前をすぎさり右側に、そしてどんどんと小さくなってしまいにはみえなくなってしまいましたとさ。。おしまい。


というようにビジュアル化することで衝動に対処する方法もおすすめです。



Tractionを確保する方法


Distraction(障害)を削減する方法を理解できたら、次にTraction(自分にとって本当に重要なことに向かって引っ張ってくれるような行動)をする時間を毎日確保していくことが必要です。


TO DOリストの危険性


「最近集中力がなくて困っている。スマホとかの通知で邪魔されて生産性が悪いんだ。」


そんな悩みを抱える人に「そもそも何に集中しようとしているの?」と聞くと、無限に並ぶタスクリストを見せてくる、そんな人は少なくないかと思います。


何をするべきなのかが明確になっていない状態です。


「障害」が何に対する障害なのかぼやぼやした状態で、障害に邪魔をされている自分を責めている、そんな人が多いです。


本当に自分に重要なことに向かって引っ張っていく行動を”Traction”とこの本では呼んでいます。まずはこのTractionを明らかにする必要があります。


またNirさんはTO DOリストをベースとしたライフスタイルは危険だという考えも述べています。


TO DOリストを基準にその1日、1週間、あるいは人生が成功だったのか・失敗だったのか、このような自己評価をしてしまうことが危険だということです。


なぜかというとタスクリストというのは一生終わることがないからです。


僕自身もタスクリスト利用しますが、今まで一度も全てのタスクをコンプリートしたことがありません。


そして全てのタスクをコンプリートをした人に出会ったこともありません。なぜかというとリストは永遠と続くからです。


もちろん、忘れないためにやらなければならないことをリスト化することに反対しているわけではなく、TO DOリストのコンプリート具合を評価基準位することに対して反対の意見を持っているようです。


では何を基準に今日はいい日だったのか、生産性の高い日だったのか評価すればいいのでしょうか?


ずばり、”自分がやると計画したことを、障害に邪魔をされずにその時間に行えたかどうか”を評価基準するべき、という考え方です。


何人の人が1日のスケジュールを組んでいるでしょうか?きっと少数派だと思います。


自分で自分の時間を守らないと、他の誰かがあなたの時間を奪っていきます。


会社の上司、友達、あるいはSNSアプリやネットフリックスがあなたの時間を知らない間に奪っていきます。


古代ローマの哲学者、セネカが2000年以上前にこんな言葉を残しています。


「人は個人的な資産や財産に対してはしっかりけちけちとしているが、”時間”のことになると本当に無駄遣いをする。(時間は)世の中で唯一けちけちするべきことであるにも関わらずにもだ。」


タイムボクシングという方法でしっかりと1日のスケジュールをブロックすることで、上記のメトリックスで1日・1週間を評価することができます。



タイムボクシング

スケジューリングは仕事だけのことをカレンダーに埋めていくのではなく、生活全ての出来事をカレンダーに埋めていく必要があります。


多くの方の1日は以下の3つのドメインからなると思います。

  1. You (自分自身の時間。睡眠や運動など) - 自分自身が健康でないと何もできません。

  2. Relationships (家族や恋人、友人との時間) - 多くの研究で孤独が長生きの大きな敵であることが明らかになってきています。

  3. Work(仕事の時間)

自分の体が不健康でボロボロだと何もできないので、1が一番優先度が高いです。


なので、しっかりと睡眠時間や運動をする時間をまずはカレンダーでブロックしていくことが重要です。


ここで明らかにしておきたいのが、ネットフリックスでドラマを観てしまうことに罪悪感を感じる必要がないということです。


もちろんそれが元々計画された時間内であれば、それはそれでGOODと評価されるべきです。


家族や恋人、友達との時間も確保する。一緒にスポーツをしたり、映画をみたり、ネットフリックスを観たり。


そして仕事のタイムボクシングです。


仕事には大きく分けて2つのアクティビティがあると考えられています。

  • Reactive Work - メール返信、Teamsやスラックの返信、お願いされたタスクなど、外部に対しての反応として行う仕事。単発なタスクが多い。

  • Reflective Work - デザイン作成、プロジェクト考案など、じっくりと集中して行うことができるタスク。クリエイティブなタスクが多い。フローに入りやすい。

私自身を含め、多くの人がReactive Workでカレンダーが埋まっている人が多いと思います。


Nirさんは1日20分でもいいので、Reflective Workのための時間をブロックしていくことで、やりがい、幸せに繋がると言っています。


また毎週15分でもいいので、自分のタイムボクシングをレビューする時間を設けましょう。


やると決めたことができたのか?


できなかった場合はその障害(distraction)は何だったのか?この障害を引き起こした不快感(Internal Trigger)は何だったのか?


30分で足りると思っていたタスクが実は50分かかったことが分かったりもします。


そして3つのドメインそれぞれにどのくらい自分が時間を費やしているかもみてみましょう。


タイムボクシングを行ってみての自分の感想


実際に過去に僕もこのシステムを取り入れてみました。


良かった点

  • 自分でコントロールできない結果(アウトプット)ではなく、コントロールできるインプットにフォーカスする考え方を身につけることができる。

タイムボクシングの考え方は、「自分でやると決めたことをその時間にできたかどうか」なので「そのタスクを完了することができたどうか」ではない。


もちろんタスクを1つ1つこなしていくことは大切ですが、一生懸命集中して取り組んでもタスクを完了することができない時だってあります。


そんな時に、「このタスクをこなすと決めて完了できなかった自分はだめだ。」と自己批判に陥りがちです。


そうではなく、しっかりとこの決めた時間に決めた行動・タスクを行えたのでGOODと、自分でコントロールできるインプットを評価の指標にすることができます。


または睡眠を例にとっても、「しっかりとした睡眠をとらなきゃだめだ」と変に自分にプレッシャーをかけてそれがあえて睡眠の妨げになるところを、


睡眠に割り当てた時間にしっかりとベッドに入ることができた、睡眠のための時間を確保することができた!


それだけでGOODと振り切って、それでも眠りにつけなければ、自分の身体が睡眠を必要としていないだけだ、本でも読もう!と開き直る考え方もできます。


  • 仕事以外のことに罪悪感を感じることなく時間を費やすことができる。

今までは海外ドラマを観たり、Youtubeのビデオを観た後に、生産性のないことをしてしまったと罪悪感を感じることが時々ありました。


しかし、あらかじめこのようなエンターテイメントの時間を確保することで罪悪感なく楽しむことができます。



悪かった点

  • タイムボクシングに時間がかかる

思った以上にタイムボクシングに時間がかかり、肝心なタスクや行動に遅れを取ってしまっている感がありました。


「こんなにタイムボクシングに時間をかけているけど、同じ時間でこのタスクをこなすことができたんじゃ。。」なんて思ってしまうことも多くありました。


  • 予定通りにいかないことがストレスへ繋がる

毎週レビューをして改善していけばいいと言っても、なかなかスケジュール通りにいかないのが人生です。


仕事もそうですけど、特にドメイン1(You)とドメイン2(Relationship)が思い通りに行かないことが多いなあと感じました。


それはやはり、仕事だと他人に迷惑をかけるのでしっかりときちっと行う習性があるが、自分のこととなると、「まあ睡眠をちょっと削ってもいいや」と妥協してしまうことがありました。


また友達と一緒に時間を過ごしていても、つい長居をしてそれが自分のスケジュール通りにいかずストレスとなったり。。そんなこともありました。


また私の中で「Spontaneity (自発性)」というのも大事にしていきたいと考えています。


Spontaneityとはプランなしに気が赴くままに行動をすることです。


「よし、今日は天気がいいからちょっとウォーキングに行こう」


「映画の舞台となったギリシャのここに行こう!」とか。


こういったspontaneousな行動のおかげ体験できた素敵な経験がたくさん過去にあるからです。


spontaneous timeとかいう名目でそれもタイムボクシングしたり、、


いろんな方法を試しながら、自分にとって良いバランスを見つけていきたいです。



障害からあなたを守る3つの仕掛け


「不快感」が真の原因であることが分かった。「不快感」とうまく付き合い方法も分かった。


自分にとって重要なことに向かわせてくれる行動「Traction」を確保するタイムボクシングを理解した。


この全てを理解したあなたにとってきの最強の集中力3つの最終兵器シェアします。



ギリシャ神話 ユリシーズとセイレン


皆さんはギリシャ神話のセイレンについて聞いたことがあるでしょうか?


セイレン(Siren)は半身女性で、半身が鳥(のちに魚)の三人の姉妹で、鳥の翼を持ち、美しい歌声で船乗りたちを魅了するという生き物です。


この歌声を聞いた船乗りは、岩に船を衝突させて死んでしまう。と言われてそうです。


そんなセイレンの歌声に惑わされないために、ユリシーズは部下に耳栓をさせ、自分を船のマストに縛り付けるように命じました。


「セイレンの歌声を聴いて海に飛び込む。」という自分が起こしたくない行動を前もって強制的に予防したのです。


その結果、セイレンが現れて美しい歌声でユリシーズを誘惑しましたが、身動きが取れないおかげでセイレンたちを振り切ることができたそうです。




ユリシーズのように、私たちも将来の自分のために強制的な予防をあらかじめ仕掛けておくことで、distraction(障害)から自分を守ることができます。


では具体的な3つの仕掛けについてカバーしていきましょう。




1.手間をかけさせる仕掛け


認めたくないかもしれませんが、人間というのはlazy(怠惰)な生き物です。


これを逆手にうまく使った仕掛けがこれです。


私の経験をシェアします。しっかりと早起きをして熟睡するために私は10PMには眠りにつく、という習慣を身につけようとしていました。


しかし、これを妨げるのがスマホでした。


夜9時にはスマホを使うのをやめたいのだけど、夜9時半になっても終いには夜10時になってもスマホをやめられない。そんな障害に悩まされていました。



これをどんな仕掛けで攻略していったかというと、


夜9時にwifiの電源を全てオフにする、という仕掛けを加えました。


えっ?それだけ?でもwifiの電源なんてすぐにオンにできるじゃん!と思うかもしれません。


しかし、当時私の住んでいた部屋では、wifiのルーターはベッドの下にあり、少しベッドを動かさないと届かない位置にありました。


また電源を一度オフにすると、再度スマホにwifiが繋がるまで数分かかるようになっていました。


文字にしてみるととても僅かな手間に聞こえますが、


一度ベッドに入っている状態から、また一度ベッドからでて、さらにベッドを少し動かして、wifiをオンにする、


このことを考えると、自分のlazyさが勝り、もういいやとなってスマホを使うことを諦めることができました。


ここまでしなくとも、スマホを寝室ではない別の遠い部屋に置いたりするだけでも、この障害を手間で取っ払うことができます。


lazyな人間、hallelujah!!





2.金銭的な仕掛け


禁煙を成功させるために、お金を使ったある実験が行われました。


被験者を以下の3つのグループに分けます。被験者には禁煙を助ける全てのツールを無料で与えました。(ニコチンパッチなど)


  1. 何もしない。

  2. 6ヶ月間タバコを我慢できたら、650USDをあげるよ!

  3. 6ヶ月間タバコを我慢できたら、450USDをあげるよ!その代わり、150USDをチャレンジ前に回収します。チャレンジ失敗したら150USDは戻って来ません。チャレンジ成功したら150USD戻ってきます。

どのグループが禁煙成功率が一番高かったと思いますか?




3つの目のグループの成功率が最も高かった、という結果になったようです。


自分のお金が無駄になる。燃やされる。となると、人間はここまでも障害に強くなれるんですね。


家族やパートナーの力を借りて、この手法で障害から自分を守ることもできます。


例えば、毎日何かしらの運動をする、という習慣を身につけようとしていたとします。


あらかじめ嫁さんに1万円を預けておいて、1日サボるたびに1,000円ずつ子供のお菓子代に使わせる、という仕掛けを作ったり、、、



3.アイデンティティを使った仕掛け


意外と一番協力なのがこの仕掛けです。


「自分は健康志向の高い人間だ。」


「私は家族思いで愛妻家の夫だ。」


「私はフレンドリーなボスだ。」


皆さんもこのようなアイデンティティーを少なからずもっているはずです。


このアイデンティティーは、「こういう人でありたい」または「こういう風に他人からみられたい」という理想かもしれません。


そしてこういったアイデンティティーは3つのドメインにそれぞれに異なったアイデンティティーの場合もあるし、重なっている場合もあります。


アイデンティティーがどうであれ、このアイデンティティーを自分に毎日言い聞かせることで、そのアイデンティティーに反する障害を防ぐことができます。


1番いい例がベジタリアンやヴィーガンではないでしょうか?


ベジタリアンやヴィーガンの人は元々DNA的にそう産まれて来たのでしょうか?


きっとそうではなく、様々な理由で「ベジタリアン」「ヴィーガン」というアイデンティティーを確立したのだと思います。


私はお肉が大好きですが、過去に一度「1ヶ月ベジタリアンチャレンジ」をしたことがあります。


結果的にいうと思った以上簡単に成功したのですが、その成功の1番の鍵がこの「アイデンティティー」だったと思います。


「自分はベジタリアンだ。」と自分に言い聞かせ、そしてまた周りにも言い続けることで、アイデンティティーが確立されたのです。




マルチタスキング


メール返信をしながら会議に参加してみたり、友達の話を聴きながらインスタグラムのコメントに返事をしてみたり、掃除機をかけながらテレビを観たり、きっと多くの人が一度に複数のタスクをこなすマルチタスキングを試みたことがあるはずです。


結果的に両方のタスクが中途半端な結果になったり、あるいはばっちりと複数のタスクをこなすことができる人もいるかもしれません。


マルチタスキングは有効的なのでしょうか?


マルチタスキングは存在しない?


多くの研究や本で言われているのは、そもそもマルチタスキングなんて存在しない、ということです。


私たちの脳は一度に一つのことに行うようにしか作られていません。


「いやいや私はミーティングに参加しながら、写真の編集もできるよ!」


と感じる人もいるかもしれませんが、実はこれは10分の1秒という自分でも気づくことのできない素早さでタスクA(ミーティング)からB(写真編集)へとフォーカスをいったりきたり移し替えているだけなのです。


イメージとしてはスポットライトを当てる対象を瞬時に入れ変えているイメージです。



そういったこともあり、多くのプロダクティビティ関連の本やブログでは、「マルチタスキングはNG。プロダクティビティの敵。」と考えられることが多いです。


なぜかというと、幸福度にも深い関わりがあると言われるフローの状態に入りづらかったり、


注意残余 attention residue」といって別のタスクに取り掛かる時に、前のタスクに、注意力が残ってしまい、注意力がしばらく分裂してからです。


マルチチャンネル・マルチタスキング


しかし、Nirさんはマルチタスキングは可能だと主張します。むしろマルチチャンネル・マルチタスキングという方法を取れば、もっと生産性が上がると言います。


マルチチャネル・マルチタスキングを説明するには、脳のリミットの仕組みを理解する必要があ理ます。


脳を大きなマルチ充電器とイメージしてみてください。


一つのタスクでたくさんのパワー(電気)を必要とする場合、他のタスクに使うパワーがなくなってしまう。


例:難易度の高い数学の問題を一度に2つ解くことができません。


脳からケーブルを通じて繋がっているチャンネルがあります。(下イメージでいうとスマホなど)



視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚というチャンネルです。


このチャンネルの数も1種類につきひとつに限られています。なので2つのポッドキャストを片耳ずつ一度に聞くことはできません。


しかし、別々のチャンネル2つを一度に使うことはできます!


登山をしながらオーディオブックを聞くことができますよね。


実はこれは科学的な用語でCrossmodal Attentionといわれるように科学的に証明されていることのようです。


1つのチャンネルをオートパイロットで、他のチャンネルでフォーカス。


1つのチャンネルがパワーをめちゃくちゃ要するものでないかぎりうまくいくようです。


さらに面白いのが生産性をあげるだけでなく。学習能力をあげる組み合わせも研究でわかっているようです。


例えば、


聴覚チャンネルと視覚チャンネルを同時に使うことで、学習の質が上がる。ー>英語の発音を聞くよりも、スペルをみながらの方が覚えやすい。


ウォーキングをしながらの方が座っているよりオーディオブックに集中できる。



マルチチャンネル・マルチタスキングを利用した応用スキル


この方法を使って、自分がなかなかやり出せないことを身につけるようにハッキングすることができます。


ペンシルベニア大学で行われた実験では、ジムにいく習慣を身につけたい人を対象とした実験をしました。


「ハンガーゲーム」「トワイライト」など、続きが気になるようなオーディオブックのみが入ったiPodを準備し、ジムにいった時のみにしかこのiPodを使えないように制限したグループがそうでないグループと比べて51%多く、ジムにいって運動することができた、という結果になったようです。


このように自分が好きな行動を、自分がやらないといけないけどなかなかできない行動と結びつけることで、行動に結びつけることができます。

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